内容説明
かつてアジアの各地から中国にやってきたムスリム移民の末裔は、時々の政治的・社会的状況に翻弄されながらも、イスラームの信仰を固守して独自の共同体を維持した。そこには、マイノリティとしての生死を賭けた、彼ら中国ムスリムの知的奮闘があった。いかにしてイスラームを、中国伝統思想、ひいては中国社会の現実と調和させるか?「中国的イスラーム」の実像に迫る。
目次
第1章 中国ムスリム史および中国イスラーム史概観
第2章 イスラームの「漢訳」における中国伝統思想の浸潤―劉智の「性」の朱子学的側面
第3章 17・18世紀中国内地におけるスーフィズム
第4章 中国ムスリムの法学派観
第5章 イスラームと中華のあいだを生き抜く―19世紀雲南におけるイスラーム法探求
第6章 中国民間所蔵ペルシア語スーフィズム文献―『霊智の要旨』
第7章 スーフィズムとタオイズム―19世紀中国西北部における対話
第8章 清代中国ムスリムのペルシア語文化受容
第9章 中国におけるペルシア語文法学の創成
著者等紹介
中西竜也[ナカニシタツヤ]
京都大学白眉センター特定助教。京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。博士(文学)。専攻は東洋史学。京都学園大学非常勤講師、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・日本学術振興会特別研究員(PD)を経て、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とんこつ
6
中国に2000万人以上いると言われているムスリムは、歴史的にどのように中華文明と思想的対話を行ってきたのか。ムスリムの来華は古くは唐代の貿易商人たちに遡れるが、本書が焦点をあてるのは、ムスリムが本格的に中国大陸に根をおろし生活を営んできた17世紀以降になる。場所は、雲南省をはじめとする西南部と、青海省をはじめとする北西部。ともに19世紀後半に大規模なムスリム反乱を経験したこの地で、どのように中華文明との融合と対立が起きてきたのか、豊富な資料と図をもとに論じられる。2018/03/21
陽香
1
201303312017/11/13
ねこ
1
マニアック度、もとい研究心に脱帽。私的には超満足のいく本でした。多分自分が、アラビア語、中国語勉強しているからと、イスラームに興味があるからだと思います。ペルシャ語もやっていたら即買いですが、いつかは欲しい本です。2014/02/17