内容説明
「富源小国」日本が帝国圏で行った「人と自然の資源化」とは?内地から満洲・華北・樺太・南洋群島へ―その構想と実態。
目次
日本帝国圏の農林資源開発
第1部 日本帝国と農林資源問題(日本帝国圏における農林資源開発組織;総力戦体制下における「農村人口定有」論;日満間における馬資源移動;帝国圏における牛肉供給体制)
第2部 帝国圏農林資源開発の実態(戦時期華北占領地区における綿花生産と流通;「満洲」における地域資源の収奪と農業技術の導入;植民地樺太の農林資源開発と樺太の農学;委任統治領南洋群島における開発過程と沖縄移民)
帝国圏農林資源開発の実態と論理
著者等紹介
野田公夫[ノダキミオ]
1948年生。京都大学大学院農学研究科教授。専攻は近現代日本農業史、世界農業類型論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Mealla0v0
3
総力戦体制下において様々なものが「資源化」されていく。そもそも資源とは、単なる自然(=富源)なのではなく、科学技術によってアクセス可能な経済的価値のある自然のことだ。総力戦による合理化は資源化を推進したのである。人すら資源化され(人的資源)、その管理のための人口政策が重要な転換を迎えた。健民健兵はまさしくそれで、生政治を思わせる。また、植民地を中心に行われた森林資源の開発など、興味深い事例とともに紹介されている。総力戦が不可逆的な変化をもたらしたと言うなら、ここに今日の資源認識に通ずるものがあるはずだ。2018/03/09