内容説明
経済ブームにわく辺境、強まるモンゴルの外圧。そのとき明朝政治は?豊富な史料をもとに描き出す中国政治の実像。
目次
皇帝「親裁」に翻弄されたオルドス回復計画―総督曾銑の「復套」をめぐって
朝貢の理念と現実―嘉靖馬市をめぐる政治過程
「顧問団」から「行政府」へ―対モンゴル問題への対応にみる隆慶時代の内閣政治の展開
『少保鑑川王公督府奏議』と『兵部奏疏』
「行政府」型内閣の光と影(アルタン封貢をめぐる政治過程;陝西における互市実施をめぐる政治過程)
朝政の舞台裏―丹陽布衣邵芳伝
明代廷議における意見集約をめぐって
著者等紹介
城地孝[ジョウチタカシ]
日本学術振興会特別研究員PD(京都大学人文科学研究所)。1978年北海道生まれ。2010年北海道大学大学院文学研究科博士後期課程(東洋史学専修)修了。博士(文学)取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みずあめ。
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はー! 面白かったー! 博士論文の修正版(らしい)で、明朝の嘉靖・隆慶帝の政治史の知識を身に付ける……のが目的ではなく、史料を適切に配置し、丁寧に読み解くことで、皇帝や内閣大学士、地方の武将や文官たちがどのように問題を処理したかを浮き上がらせる作業が最高に楽しかった 特にオルドス回復計画や馬市の実施を扱う案件決済を巡って、各アクターの様々な思惑や陰謀が渦巻く状況を地道に史料を読み解いてひたすら実証的に把握していく過程が、派手さは一切なくともぐいぐい引き込まれる あぁ、学問だなぁ……2017/09/28
almadaini
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明代後期の主に北辺における対モンゴル政策を巡る明朝の政策決定過程を、それに関わった様々な立場の人々の思惑を拾い集めて、これまでの改革/反動といったなんらかの価値判断に基づく二項対立的分析の打破を試みる研究。重厚。そしてこれだけボリュームのある研究書としては値段が安い。2012/10/26