内容説明
本分冊には第4デカーデ最初の第31‐33巻を収録し、著者曰く「ポエニ戦争以上に注目に値する」第2次マケドニア戦争を始めとした前201‐196年の出来事が、ポリュビオスを主たる典拠に叙述される。カルタゴ攻略後、ローマの覇権は東方へ。ヘレニズム時代を終わらせ、帝国化の途を拓く端緒が描かれる。
著者等紹介
リウィウス,ティトゥス[リウィウス,ティトゥス][Livius]
北イタリアのパタウィウム(現パドヴァ)に生まれ、共和政末の内乱期から帝政初頭のアウグストゥス期を書斎に送ったローマ人歴史家
吉村忠典[ヨシムラタダスケ]
横浜国立大学名誉教授。1925年名古屋市生まれ。1948年東京大学文学部卒業
小池和子[コイケワコ]
慶應義塾大学言語文化研究所准教授。1967年東京都生まれ。1999年東京大学大学院博士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
6
サルスティウス『歴史』が、ローマの衰退を道徳の退廃として歴史全体に渡って見るのに対し、著者はその傾向が第二次ポエニ戦争で潜在化し、東方への戦役でそれら豪奢な文化に触れ、貪欲と奢侈に耽溺し、その悪徳性を表面化させたと捉える。歴史書は、そこに生物システムさながらの国家が外的世界と接触のたびに表面化する脆弱さの検証を含むゆえに、未来の読者の情報となりうる。本書は、マケドニアとシリアの同盟を脅威とするアテネらの支援要請に応えて元老院が参戦を決定する共和政を讃えると同時に、軍の東方での略奪行為と悪徳への傾斜を描く。2022/07/18