内容説明
愛する祖国没落の渦中、ギリシア人実務家の冷徹な目に映った、かつての敵国ローマ興隆の同時代史。
著者等紹介
城江良和［シロエヨシカズ］
四天王寺大学教授。１９５７年兵庫県生まれ。１９８５年京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得。２００７年より現職（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
4
混合政体論によってローマの政治体制の柔軟性を捉え、政体循環論によって国家の盛衰の必然性を主張した著者だが、本書はあくまで出来事の歴史を記すと本巻の冒頭で宣言する。それはカルタゴとローマの対立をハンニバルとスキピオに託して語る物語の歴史ではない。指導者の性格、知識、状況判断、弁論の巧拙を列挙してその資質を評価する本巻は、戦争という集団力学が指導者の資質以外での他国との交渉、ロジスティクスを円滑にする人、地勢、天候、そして運が絡まり合う出来事の動態であることを詳細に記しつつカルタゴの衰退とローマの興隆を描く。2022/06/11
