内容説明
清貧のアリステイデスと倹約のマルクス・カトーなど、ギリシア・ローマの名士らを二人一組の対比形式で活写。
目次
アリステイデスとマルクス・カトー(大カトー)(アリステイデス;マルクス・カトー;アリステイデスとマルクス・カトーの比較)
ピロポイメンとフラミニヌス(ピロポイメン;フラミニヌス;ピロポイメンとフラミニヌスの比較)
ピュロスとマリウス(ピュロス;マリウス)
リュサンドロスとスラ(リュサンドロス;スラ;リュサンドロスとスラの比較)
著者等紹介
柳沼重剛[ヤギヌマシゲタケ]
筑波大学名誉教授。1926年東京都生まれ。1949年京都大学文学部卒業。筑波大学・大妻女子大学教授を経て筑波大学名誉教授。2008年7月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
6
本書の対比は、ギリシャとローマの文化や政治の比較のような類型化がない。著者自身、本書を歴史ではないと断っており、善悪を織り混ぜて対比する記述は、演示弁論という弁論術の技法に近く、それが個々の状況や性格を記述した生を列挙する「列伝」形式を成しているという説もある。読むうちに理解されるのは、徳性という評価の基準がある点だ。プラトン的哲人統治に寄りつつも、著者は、高潔さが十分でも国家に危機をもたらし、不十分でも国家を繁栄させることを列挙し、善悪織り交ぜながら読者に徳性を磨かせるように構成されているように見える。2022/06/01
ハルバル
3
この巻からローマの台頭著しい時代となり、「最後のギリシャ人」ピロポイメンの一瞬の光芒も虚しく、ギリシャは紆余曲折を経てローマの支配を受けることになる。やはり多くの都市国家が散らばりどうしても一つにまとまらないギリシャでは、ローマの国家的団結には打ち勝てなかったのだろう。ギリシャからすれば辺境の弱小国にすぎなかったローマが周辺緒部族を併呑しカルタゴを降して強力になっていくが、ギリシャは後には属州として繁栄しながらも自治は失われていくのだった…。イタリアの地理的な狭さが逆によかったのかも2014/10/16
ちゅーえ
0
結構時間がかかってしまったがなんとか読了。 最初の方の大カトーとかなんとなく名前を知ってる人ならともかく、ピロポイメンなど一度も聞いたことのない人の名前が出てくるのはなかなかきついものがある。 ギリシャとローマの偉人同士が比較されるパターンが多いが、時代が下ってローマ時代のギリシャとローマだとやはりギリシャ側が小粒な印象を受ける。それだけローマは強いということかも。 ローマ人の物語とかを読んでいたらもっとおなじみがいて楽しめたかもしれない。2012/11/10