内容説明
迫り来るマケドニア勢力に抗して「ギリシアの自由」を高らかに謳った本演説は、もっとも完璧な弁論作品。
目次
第十八弁論 冠について(クテシポン擁護)
第十九弁論 使節職務不履行について
著者等紹介
木曽明子[キソアキコ]
大阪大学名誉教授。1936年満州生まれ。1967年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。大阪大学、北見工業大学教授を経て2002年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
4
ディオニュシオスによれば、著者の弁論は韻律に近い美(アリストテレス以来、弁論での詩的韻律の使用は人工的とされた)と各文節の区切りによるリズムの高度な語の配列の駆使にあるという。著者の違法行為を挙げて受冠の不当性を主張する論敵アイスキネスに対する自己弁護「冠について」では、論理を超えた以上の2点と調子を高める漸層法(κλῖμαξ=クライマックス)によって論敵を退けたとされる。この弁論では修辞面での聴衆の誘導が取り上げられるが、カリアスの和約に言及した公訴弁論「使節職務不履行について」ではその論理性が際立つ。2019/08/04