内容説明
そして、賢人たちの探求は人間の「情愛・性愛」に向かう。蘊蓄の限りを尽くした宴もこれにてお開き。本邦初完訳。
目次
一夫一婦、一夫多妻、側室
遊女
喜劇に出てくる人妻
女は戦争の原因である
エロス
少年愛
髭を生やすのと髭を剃るのと
美男美女を礼讃すること
ポルノグラフィア・娼婦
高級な遊女〔ほか〕
著者等紹介
柳沼重剛[ヤギヌマシゲタケ]
筑波大学名誉教授。1926年東京都生まれ。1949年京都大学文学部卒業。筑波大学・大妻女子大学教授を経て1999年退職
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感想・レビュー
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roughfractus02
6
愛の神(エロース)から精神的な愛や宇宙論へと上昇するプラトン『饗宴』を意識する本書は、一夫一婦、一夫多妻、側室、遊女から少年愛、娼婦やポルノグラフィアの肉体次元のエロスを語り、アリストパネスのギリシア喜劇『女の平和』を模した女性を巡る戦争の話へと移って、ようやく本書全体の主題と思われる喜劇(道化、ふざけ、駄洒落)と饗宴の親和的関係が、饗宴での音楽と踊りのテーマに沿って展開していく。それらはかぐわしい花や香油の香りを伴い、観念に上昇する力に抗して、身体の躍動や嗅覚によって肉体の次元に留めようとする力となる。2019/07/30