内容説明
紀元二世紀末の医師が無用なる諸学問を批判、論駁。古代懐疑主義の最重要古典。本邦初訳。
著者等紹介
金山弥平[カナヤマヤスヒラ]
名古屋大学大学院文学研究科教授。1955年島根県生まれ。1986年京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。2000年京都大学文学部助手、名古屋大学助教授を経て現職
金山万里子[カナヤママリコ]
大阪医科大学助教授。1942年北京市生まれ。1975年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。1981年京都大学文学部助手を経て現職
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感想・レビュー
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roughfractus02
3
懐疑主義が龍樹等東洋思想と比較されるのは、始祖ピョロンが当時のインドへの旅で修行僧に出会って自らの主張を構築したからという説がある。一方医者である著者は、患者の病状を仮説推論で探るが、それがその時は真でもいつも真とは信じれない点を経験によって理解していた。真と信を区別する懐疑主義は、個別ケースを一般化する記号の使い手たる学者たちに批判の矛先を向ける。本書は、文法家、弁論家、幾何学者、数論者、星学者、音楽家というギリシャローマの学問的理念(自由七学科)を下から順に論駁し、その最上階でピュタゴラス学派に至る。2017/03/07
脳疣沼
2
文章自体は単純明解だが、それでも何を言ってんだか理解不能な部分もある。とにかくあーでもない、こーでもないと、当時の学問の根幹を切り崩していく。確固たるものがないと不安になる気がするが、しかし、思うに、確固たるものがないことによる平安というのは、仏教も説いていることであって、案外に自然な考え方かもしれない。2015/09/13