内容説明
最大の弁論家と謳われた作家がアテナイの腐敗政治を攻撃し、首謀者を糾弾する。格調高い文章に思想心情が吐露される。
目次
第二十弁論 レプティネスへの抗弁
第二十一弁論 メイディアス弾劾
第二十二弁論 アンドロティオン弾劾
著者等紹介
北嶋美雪[キタジマミユキ]
学習院大学名誉教授。1933年神奈川県生まれ。1962年京都大学大学院文学研究科博士課程退学。学習院大学教授を経て2003年退職
杉山晃太郎[スギヤマコウタロウ]
学習院大学、学習院女子大学、東海大学非常勤講師。1962年東京都生まれ。1992年学習院大学大学院人文科学研究科博士後期課程退学。学習院大学文学部助手を経て現在に至る
木曽明子[キソアキコ]
大阪大学名誉教授。1936年満州生まれ。1967年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。大阪大学教授、北見工業大学教授を経て2002年退職
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感想・レビュー
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roughfractus02
4
民主制が危機を迎え、ポリス政治からマケドニアの支配に移行する時期、アテナイ独立を叫ぶ著者の弁論はアゴラに集う聴衆の耳を圧倒したという。その文体は民主的であろうとするゆえに論理を主とし、聴衆を神へ誘導する演劇的呪術性を弱めつつ、論理を際立たせる説得の道具として修辞を駆使したとされる(cf.聴衆の感情を誘導する詩人を疎むプラトンと詩を演劇の創作術に据えたアリストテレスと修辞の関係)。が、著者の初期の法廷弁論を収録した本巻を読むと、これら「弾劾」弁論に土地の所有権争いを起源とする修辞学の歴史が二重写しに見える。2019/08/05