内容説明
都会的で、洗練された「言葉の愛好者」の上質なホームコメディ。全六篇を一挙に収載。
著者等紹介
木村健治[キムラケンジ]
大阪大学原語文化部教授。1946年、京都府に生まれる。1976年、京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。大阪樟蔭女子大学講師、助教授、大阪大学助教授を経て、1992年、現職
城江良和[シロエヨシカズ]
四天王寺国際仏教大学助教授。1957年、兵庫県に生まれる。1985年、京都大学大学院文学研究科博士課程修了。四天王寺国際仏教大学講師を経て、1992年、現職
谷栄一郎[タニエイイチロウ]
奈良県立大学教授。1948年、兵庫県に生まれる。1978年、京都大学大学院文学研究科博士課程修了。奈良県立短期大学講師、奈良県立商科大学助教授を経て、1990年、現職
高橋宏幸[タカハシヒロユキ]
京都大学大学院文学研究科助教授。1956年、千葉県に生まれる。1984年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。京都工芸繊維大学講師、助教授を経て、1995年、現職
上村健二[カミムラケンジ]
甲子園大学人間文化学部専任講師。1963年、大阪府に生まれる。1991年、京都大学大学院文学研究科博士課程修了。1997年、現職
山下太郎[ヤマシタタロウ]
京都工芸繊維大学助教授。1961年、京都市に生まれる。1990年、京都大学大学院文学研究科博士課程退学。京都大学助手、京都工芸繊維大学講師を経て、1996年、現職
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感想・レビュー
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roughfractus02
7
奴隷出身の著者の喜劇にはプラウトゥス劇の奴隷の狡知はなく、良心と自由という後の近代的個人概念を登場人物に与える(ルターやルソーが引用)。女と付き合う息子を軍隊に入れた父親が内心後悔し(「自虐者」)、頑固で保守的な兄と自由思想を持つ弟の2人の父親を対比させて理想的な父親像を投げかける物語は(「兄弟」)、そのギャップが引き起こす笑いと共に、観客に子どもの教育という課題を与える。プラウトゥス劇でゼウスのパロディとして扱った強姦のテーマは、著者の劇では人間の劇となり、笑いの中にも理不尽さが前景化する(「義母」)。2019/07/11