西洋古典叢書
魂について

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  • サイズ B6判/ページ数 281,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784876981274
  • NDC分類 131.4
  • Cコード C1310

内容説明

現代の哲学や諸科学にも豊かな示唆を与える、万学の祖アリストテレスの魂をめぐる独自の分析。

目次

魂の探究上の諸課題
先行見解の総覧
先行見解の検討
先行見解の検討と問題の確認
魂に共通する一般的定義
魂の再定義(生きることの諸形態の原因としての魂;諸能力の原理としての魂の階層的構造)
魂の探究における方法論的注意、栄養摂取能力
感覚についての一般的考察
感覚の対象の種類
視覚〔ほか〕

著者等紹介

中畑正志[ナカハタマサシ]
京都大学大学院文学研究科助教授。1957年長野県生まれ。1986年京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。1995年九州大学助教授を経て現職
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

101
先行見解の引用、文章の歯切れの悪さや綻びの量は難問から目を逸らさず異質な言明の投入も躊躇わない生真面目かつ冒険家なスタンスが浮かび上がる。彼の魂論は形相・質料を基本原理に「栄養摂取し、運動し、感覚し、思惟する」機能から切り込む自然学基盤で、「ある意味、存在するもののすべて」という環境をひっくるめた外在主義的視点へ帰結する点で近代と対極的。原初的直観と生物学的活動から心の機能や〈ある目的〉へ繋げる着眼は、生理学・心理学・社会学といった総合学的要素が色濃い。デカルトを通過した現代にも力強く問いを残す濃密な書。2023/11/03

buuupuuu

19
「プシューケー」という言葉は我々の「心」という言葉とは少し異なった意味合いを持つため、「魂」という訳語が当てられている。先行諸見解は魂を物質的に考えているものが多い。対するアリストテレスは、解説によれば、魂について二種類の説明をしている。一つは、物体に対する形相もしくは現実態であるというもの。これは物体が組織化されている状態のようなイメージだろうか。もう一つは、栄養摂取、感覚、思考、運動などの始原であるというもので、生命原理のようなものである。本書ではこれらの能力の説明に多くの部分が費やされている。2023/08/16

hitotoseno

9
魂、と聞くと幽霊のようなものを浮かべてしまうところではあるが、アリストテレスにとっては生き物と一体になって生き物の動因となりながら、自らも生物によって動かされるものであり、確かに幽霊的なものではあるが、より一層具体的な物と考えてよかろう。一章はアリストテレス以前の哲学者の考えを羅列し、批判する場所であるため、読むべきは二章、三章になる。だが、歴史的に重要なのは知性は人間から独立にしうるかを論じたくだりのみだろう。プラトンにおいて知性は人間から独立しうるものだったか、アリストテレスは軌道修正を試みた。2016/01/27

スズツキ

6
表だって知られていないけど、五感というものを定義した歴史的作品。事前に読んだ本に「非常に難解」とあって覚悟していたのだが、この平易な訳で思いのほかすらすら読める(デュナミスやエイドスあたりはそのまま表記した方が絶対わかりやすいと思うが)。ただそれなりの準備が必要なのも事実。哲学史やアリストテレスの他作品、『倫理用語集』あたりで予習しておけば、そこそこ気楽に挑めるでしょう。2015/07/22

ゲニウスロキ皇子

5
いやあ難しかった。何とか読了したが、それでも半分くらいしか理解できていないんじゃないかん?とはいえ、魂は何かというと問に対して、先人たちの思索を批判的に検討し、かつ、自らの鋭い洞察を挟む姿勢は学問の神様さながら。魂の働きを栄養取得から始める考察は、現代的な心に関する常識を打ち破るに足るインパクトがある。註、補註、解説が非常に充実しているので、つまづきながらもなんとか読み通せる。まさに力訳である。これから何度も読み返したい。おそらくその度に新たな発見があるんじゃないかな。2013/02/12

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