出版社内容情報
役割語をテーマとした画期的な論文集。
他言語との対照、音声や外見など身体性をめぐる議論も取り入れ、役割語研究の新たな展開を示す。日本語教育を含めた外国語教育や翻訳・吹き替え等に興味を持つ方にもお勧めの一冊。
目次
導入(金水 敏)
第1部「対照役割語研究への誘い」
第1章 役割語の個別性と普遍性―日英の対照を通して―(山口治彦)
第2章 キャラ助詞が現れる環境(定延利之)
第3章 声質から見た声のステレオタイプ―役割語の音声的側面に関する一考察―(勅使河原三保子)
第4章 日韓対照役割語研究(鄭 惠先)
第2部「近代マンガの言語と身体」
第5章 近代日本マンガの言語(金水 敏)
第6章 近代日本マンガの身体(吉村和真)
第3部「役割語研究の射程」
第7章 小説における米語方言の日本語訳について(トーマス・マーチン・ガウバッツ)
第8章 〈西洋人語〉「おお、ロミオ!」の文型―その確立と普及―(依田恵美)
第9章 役割語としての「軍隊語」の成立(衣畑智秀・楊 昌洙)
第10章 役割語としてのピジン日本語の歴史素描(金水 敏)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ecriture
2
引き算式にキャラ言語を立ち上げるのが得意なヨーロッパ諸言語に対して、格助詞を持ちSOV構造の日本語は足し算的にキャラ言語を作りやすい。キャラ助詞は終助詞より後ろに位置する。などの、本当にそうかな?違うのでは?と思われる内容は続編の『役割語研究の展開』で訂正されたり例外に言及されることになる。つまり、とても若い学問ではあるが、翻訳に関わる人は知っておいて損はない内容。トーマス・マーチン・ガウバッツの論文は、アンケートによる実証性があってとても面白かった。2023/09/07
kirinoza
1
3章の音声的側面が専門的かもしれないが、それ以外は役割語を専門的に学んだことがなくても面白く読める内容ばかりだと思います。2013/12/19
とんび
1
論文集と言った様相。正直読み物としては面白くない。「ヴァーチャル日本語 役割語の謎 」を読めば十分。2009/04/19