内容説明
紛争や暴力は非日常世界のものか?ソロモン諸島ガダルカナル島。太平洋戦争の激戦地は、21世紀の幕開けと相前後して新たな武力紛争「エスニック・テンション」に見舞われた。紛争下を「普通」に生き抜いた人々の生存戦略の中から、平和と紛争の共時的関係と紛争解決のダイナミズムを浮き彫りにする。
目次
序章 紛争に着眼した平和の人類学に向けて
第1章 平和の人類学とメラネシア民族誌
第2章 ガダルカナル島北東部の民族誌的概観
第3章 歴史の中のソロモン諸島
第4章 「エスニック・テンション」
第5章 紛争との関わり方
第6章 紛争処理の多様な試み
第7章 和解と関係修復へ向けて
終章 平和生成の共時的・通時的分析
著者等紹介
藤井真一[フジイシンイチ]
1981年、奈良県生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科人間科学専攻博士後期課程単位取得満期退学。博士(人間科学)。日本学術振興会特別研究員PDを経て、現在は国立民族学博物館外来研究員。専門は文化人類学、平和研究、オセアニア地域研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
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ソロモン諸島ガダルカナル島北部での「エスニックテンション」の経緯と、紛争渦中での生存戦略や贈与儀礼などを用いた和解と関係修復の取り組みを紹介し、平和と紛争との共時的な動態関係を明らかにしている。また、ソロモン諸島真実和解委員会による紛争処理で、移行期正義をめぐるグローバルな規範を導入したことによってローカルな規範との間に発生したコンフリクトも示している。「下からの平和」や「上からの平和」といった枠組みを超えて、日常生活の中でいかに平和を生成していくか、平和は与えられるものではなく作り上げていくもの。2022/12/07