内容説明
湯川が何を考え、誰に何を教えたかったのかを、読み取ることのできる教科書。序文には「工学の諸分野や、生物学・生理学・心理学ないしは哲学までにも重大な影響を及ぼしつつある」と記されている。量子とはなにか、真の姿を知ったうえで学ぶのに最適である。
目次
第1章 量子論の発達
第2章 波動力学の概観
第3章 行列力学の方法
第4章 量子力学の基礎概念
第5章 一般理論
第6章 摂動論および衝突論
第7章 多体問題および輻射論
第8章 相対論的電子論
付録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
11
2021年に復刊された本書は1947年の刊行、54年の改訂、71年の新装版を経た大学生向けの量子力学の教科書である。一つの学問領域としてではなく、世界を把握するフレームとして物理学を扱う著者の姿勢が窺える本書は、化学のみならず、工学、生物学、生理学、心理学、哲学にも影響を及ぼしつつある量子力学が、知識を相対的とし、客観性を確率的に捉え直す非決定論であると繰り返し強調される。構成は量子論の発展に始まり、相対性理論の電子論に及ぶ本論と古典力学を中心とした付論から成る。シャノン以前であり情報通信論の言及はない。2022/03/12