目次
第1部 文学篇(ネルヴァル観の形成―批評と論争;フローベールの文体をめぐる論争;ボードレールとノルマンディーの海岸;『サント=ブーヴに反論する』におけるもう一人の詩人、ルコント・ド。リール;「ゴンクール未完日記」のパスティッシュ)
第2部 絵画篇(オランダ絵画―レンブラントからフェルメールへ;カミーユ・コローの風景画―コンブレーの「二つの方角」の源泉;モネの睡蓮画―ヴィヴォンヌ川の睡蓮の場面をめぐって)
第3部 音楽篇(変貌するショパン;ワーグナー派と反ワーグナー派―ワーグナー批評史の中のプロースト;新世紀のヒーロー、ベートーヴェン;叡智と宿命のドラマ―ドビュッシー『ペレアスとメリザンド』;写真と記憶―コンプレーの生成過程におけるイリエ)
著者等紹介
和田章男[ワダアキオ]
大阪大学名誉教授。1954年京都市生まれ。大阪外国語大学卒、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。パリ・ソルボンヌ大学第三課程文学博士。大阪大学文学部助手、言語文化部講師・助教授を経て、1993年大阪大学文学部助教授就任、2004年同文学研究科教授、2020年3月定年退職。研究課題として、プルースト研究、生成研究、ジャンルを超えた受容・比較研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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NAGISAN
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4月からチャレンジ中の『失われた時を求めて』の参考として読書。発表原稿を文学篇、絵画篇、音楽篇+写真章に再編集。「受容とは、記憶の中で創造へと変容する能動的営為」。『失われた時を求めて』はリベラル・アーツの宝庫で、ベル・エポック時代の風俗をも知ることができる「百科事典」のような作品であるが、本書で、漠然と理解していたものがすっきりしたものもあった。「知性と視覚の近似、視覚は過去のものを保存しない」に対し、「無意識(無意志)的記憶は、当時の日の光、好み、欲望などから構成される実体を我々に感じさせる」など。2022/09/13