内容説明
移り変わる政権のなかで先住民であり、国民である人々。暴力なるもの、権力なるもの、深刻な社会問題とそこからの回復を綴る民族誌。
目次
第1章 人権と政治
第2章 伝統祭祀と社会
第3章 先住民共同体と経済
第4章 暴力の語りと証言
第5章 政治的暴力の諸相
第6章 先住民表象と国家
第7章 移民と難民
第8章 経済開発の寓話
第9章 地方分権と先住民
第10章 地方政治における紛争
第11章 フィールドワークを通して考えること
著者等紹介
池田光穂[イケダミツホ]
大阪大学COデザインセンター教授・センター長。専門は文化人類学、医療人類学、中米民族誌学、先住民学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
19
グアテマラ共和国西部での長年のフィールドワークを通して、支配的集団からの差別と搾取を受けてきたマヤ系先住民が、自分たちのアイデンティティをどのように取り戻そうとしているのかを記している。◇冒頭に人種概念に関する記述があり、これは重要。生物種としても亜種としても「自然な集団」の人間を生物学的に区分できないにも関わらず,似非科学による科学人種主義が蔓延る背景を解説している。人種は政治的な分類概念であり、人種というワードを持ち出す際はその概念が生成された経緯を念頭に置いておくことも大事なのだろう。2021/07/14