目次
“しんどい学校”の教員たち
第1部 本書の分析射程―先行研究の検討と調査概要(先行研究の検討と分析課題の設定;調査とデータの概要)
第2部 “しんどい学校”の教員の適応キャリア(“しんどい学校”の学校環境;“しんどい学校”の教員たちの教職アイデンティティ;“しんどい学校”の教員への社会化過程)
第3部 教員世界の変化と教員のキャリア問題(教員集団の変容と教員のキャリア問題―A中の事例から;教育改革と教員のキャリア問題―大阪市の新自由主義的教育改革の事例から)
“しんどい学校”の教員文化から見えてきたこと
著者等紹介
中村瑛仁[ナカムラアキヒト]
1985年、福井県生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科講師。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程単位取得退学、博士(人間科学)。専攻は教育社会学、主な業績として「教員集団内における教職アイデンティティの確保戦略」(教育社会学研究第96集、第7回日本教育社会学会奨励賞・論文の部受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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k.ichihara
3
いわゆる貧困層が多い地域の学校の教員文化について社会学的調査を行った研究書。規範重視の指導と、共感ベースの指導との間の葛藤など教育現場のリアルを捉えている。学校の荒れが問題になる時、規範の厳格化に傾きがちである。実際、教員に叱る力がないと何でもありの無秩序状態が容易に生み出されてしまう。一方で、ルールを逸脱する子どもは、何らかの理由を抱えている。そこへの理解がなければ厳格化は弱者の排除につながる。厳格化と共感とのバランス感覚を教員は職場文化として獲得していくという私の認識に、極めて近い結果を示している。2020/03/05