内容説明
宝誌和尚像の顔の表皮がめくれ、内側からもうひとつの顔がのぞく。読むものと読まれるもの、見ること、見えること、見られることの間に不思議な変化や変身が生まれ、古典の世界は新たな相貌を帯びてくる…著者は二重・三重に意味が満ちている日本文学の深みに分け入り、多層化・多面化するテクストの機微を解読する。源氏、徒然、明恵の夢、柳田民俗学から落語の世界まで広く深く渉猟し、“成る”をめぐって展開する書き下ろし力作評論。
目次
第1章 二重の顔(桂枝雀『猫』のこと;裂けた顔、覗く顔―宝誌和尚立像 ほか)
第2章 『源氏物語』の秘匿の顔(裏の顔、もう一つの顔;すきまと日本文化―垣間見と『源氏物語』 ほか)
第3章 『徒然草』の二層の「心」(『源氏物語』と『枕草子』;『徒然草』にとっての『源氏』と『枕』 ほか)
第4章 夢とわたし―もう一つの自伝(夢と物語;物語と夢 ほか)
第5章 「目」の物語(夢と目覚め―まなざしの問題へ;「邪視」の視界―いにしえの「目」と「木」 ほか)
著者等紹介
荒木浩[アラキヒロシ]
1959年生まれ。京都大学大学院文学研究科修士課程修了、同博士後期課程中退(国語学国文学専攻)。愛知県立女子短期大学・愛知県立大学、大阪大学教養部などを経て、大阪大学大学院文学研究科教授(国文学・東洋文学講座(日本文学))(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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