目次
総論 “変態”を繙く―江戸川乱歩と梅原北明の“グロテスク”な抵抗
第1部 “変態”と向かい合う―精神医学・心理学(呉秀三―とらえどころのない“精神”と“正統派”精神病学;『変態心理』の頃の森田正馬;小熊虎之助と変態心理学)
第2部 膨張する“変態”―変態心理・変態性欲・霊術(変態する人・中村古峡―結節点としての『殻』;文学が“変態性欲”に出会うとき―谷崎潤一郎という“症例”;田中守平と渡辺藤交―霊術家は“変態”か)
第3部 “変態”の水脈―テクスト・表象(性的指向と戦争―大日本帝国陸軍大尉・綿貫六助の立ち位置;妄想される“女ごころ”―木々高太郎『折蘆』考;三島由紀夫―とてつもない“変態”;戦後空間を生きのびる“変態”―阿部定と熊沢天皇)
著者等紹介
竹内瑞穂[タケウチミズホ]
現在、愛知淑徳大学文学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
∃.狂茶党
7
タイトルに使っといて、乱歩への影響、乱歩からの影響はあまりないが、この話題について、大真面目に取り上げることは喜ばしい。 秋田昌美など、真面目な書き手はいろいろいましたが、ともすれば下品に傾きすぎる倒錯や変態といった、逸脱(とされるものの)文化史。 変態を指差す「規範」を形作る権力についての話題も読みたかったけれど、元々、読書会だったことを考えるなら、それは高望みだろう。 すこぶる面白いけど、これは、踏み台。 2022/06/21
原玉幸子
0
「変態」を切り口にした、谷崎や三島の文学性が何たるやの論説を期待したのですが、歴史背景として、日本の精神病理医学や霊術に関わる記述が延々と続いたので、まぁいいや、と読み流してしまいました。(●2017年・秋)2020/02/20