内容説明
佐藤泰志は、立松和平や村上春樹と同世代、89年までに芥川賞5回、三島賞にもノミネートされながらも、90年自死。いつしか忘れられた存在になっていた。ところが2006年、作品集刊行=再デビューとともにブレイク。4作が映画の原作となり高い評価を受ける。この秋にも5作目『草の響き』が公開予定。復活の過程を追い、なぜ忘れられ、なぜ復活し、なぜいまなお注目されているかを探る。
目次
序章 自死の波紋
第1章 遅すぎた出会い(1993年6月;『大きなハードルと小さなハードル』 ほか)
第2章 おいたちから死まで(高校時代まで;「初期作品」の時代(1970‐80) ほか)
第3章 再発見・再評価から映画化へ(ついに「きみの鳥はうたえる」に出会う;『佐藤泰志作品集』刊行 ほか)
第4章 とりあえずの結語(なぜ、佐藤泰志は忘れられたのか?;なぜ、佐藤泰志は再発見(再評価)されたのか?)
著者等紹介
成田清文[ナリタキヨフミ]
1955年7月5日生まれ。青森県立弘前高等学校卒、弘前大学人文学部文学科卒。県立高校教諭を37年勤め退職、現在、弘前高等学校・柴田学園大学短期大学部・青森大学で非常勤講師を勤める。教員としての活動と並行して、個人通信の発信(『越境するサル』)とNPO団体での映画自主上映(「harappa映画館」)を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
26
☆☆☆★ 佐藤泰志へのファンレターのような本。佐藤泰志の復活について丹念にたどっている。ある種の「弱さ」が佐藤泰志の魅力だというのは同感。どうしてもそこに魅かれてしまう自分がある。映画作品へも詳しく言及されている。2022/03/02
minazuki
13
佐藤泰志、1949年函館生まれ、芥川賞・三島賞の候補となるも、受賞ならず、1990年自死41歳。「忘れられた作家」になる。「復活」のきっかけは、2007年クレイン刊行の「佐藤泰志作品集」。2010年映画「海炭市叙景」上映、品切絶版となっていた単行本6冊が次々文庫化される。そして来月、6度目の映画化となる「夜、鳥たちが啼く」公開。/不思議な作家である。成田氏は佐藤泰志はなぜ再発見され、再評価され、映画として再構築されたのかと問い、その文学の「普遍性」ゆえと結論づけている。2022/11/12
yoyogi kazuo
1
なぜ佐藤泰志は忘れられ、そして再評価されたのか? この本は、佐藤の死の後に彼の小説に魅せられ、その再評価を目の当たりにし、彼の原作が続々と映画化される状況に参加したひとりの愛読者による、思い入れの詰まったドキュメントとして読める。佐藤の小説には痛切な読後感が残るが、この本のそれは爽やかなものだ。2021/11/13
taiju
0
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