内容説明
問題作『クロイツェル・ソナタ』翻訳秘話、心ならずも巻き込まれた「新聞戦争」、文豪を取り巻く人々との温かい交わり…知られざる逸話に満ちた、アイルランド生まれの知識人による記録。19世紀末葉、文学作品の翻訳から始まり、トルストイとの個人的関係を築いていった著者ならではの体験と、そこから育まれた観測。新たなトルストイ像を形造る試みを通じて、若くして一生の思いを懐き続けたロシアを語る、著者の遺作、遺言ともいえる作品。
目次
祖先
幼年時代―耕耘の頃
少年時代―播種の頃
大学への準備
最初の理想
教えるために学ぶことを断念する決意
トルストイの芸術
私とトルストイとの個人的関係
トルストイと私がW.T.ステッドに手を打つように仕向けた話
トルストイの弟子たちの中の私の友人〔ほか〕
著者等紹介
ディロン,E.J.[ディロン,E.J.] [Dillon,E.J.]
1855年、アイルランドに生れる。ヨーロッパの諸大学で学ぶ。東方キリスト教に関心をもち、若くしてロシア・ウクライナ地方に入る。以後、ロシア民衆の中に身を置きながら、大学教授、新聞編集者、欧米通信社の通信員として、ロシアの文化人、政治家との交流を深める。また、革命直前まで元老セルゲイ・ウィッテの側近として、ロシアのみならず、広くヨーロッパ、アメリカ、アジアにわたる国際政治の動向に論評の才を振った。1933年死去
成田富夫[ナリタトミオ]
昭和12年、愛知県生まれ。昭和35年、名古屋大学文学部国史学科卒業。元愛知県立高等学校教諭。現日ロ友好愛知の会理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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