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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
isao_key
5
オランダ貴族の血を引く長い名前の著者によるロシアにおけるオリエンタリズム論。内容は歴史、文学、音楽、絵画、建築から東洋学の発展まで幅広く扱う。序章「ロシアのオリエンタリズムとは何か」でサイードの『オリエンタリズム』を西洋が東洋を研究する学問的装置が、東洋を抑圧するための手段だと論じ、サイードが西洋という時、主に19世紀から20世紀のイギリスとフランスを指しドイツ、オランダ、ハンガリーやロシアといった東洋学の根強い伝統を持つ他のヨーロッパの国々を除外し、東洋については故意に曖昧にしていると批判している。2014/09/26
ちょっかん
1
サイードのオリエンタリズムでは、西洋の東洋を他者として差異化する二項対立を説明していたが、本書では、ロシアではその構図が異なることを論じている。西洋と東洋の中間点に位置するロシアは、西洋以上に東洋に近く、自分の中の東洋も意識している。そのため、東洋に対する自己と他者の境界は曖昧である。ポスト構造主義を思わせる内容で、とても面白かった。2020/09/21
宵子
1
長いのでやや斜め読み。ロシアとアジアとの関係の長い歴史について、様々な分野から見たもの。ここで言うアジアには、トルコや中央アジア、コーカサスや中国やインドも含まれる。ただし、個々の関係についての具体的なことはあまり書かれていない。この本の特徴は、著者が非ロシア人のため客観的であり、片方に都合のいい記述がないことである。2014/04/13
belier
1
ロシアのオリエンタリズムは、西ヨーロッパとは違う。後者ではオリエントは他者として描かれるが、ロシアでは自己と他者という区別が解けてしまう。スラブ人はロシアの支配者としては新参者。アジア系遊牧民族の文化や血脈は断絶されず、スラブ系ロシア人の中に根深く生きているようだ。この本では、誰ががどういう活動をし、作品を残したか歴史に沿って説明する。出てくる人は聞いたことがない人ばかり、ロシアの歴史は知っていることが前提での説明。記憶をネットで回復しながらの読書となった。ロシア文学の深みの源泉を知った気分。2014/02/08
くらむ
0
ロシアがアジアをどう見ていたかのかを歴史的に紐解いていく概説書。 俯瞰的に歴史が学べる。 概説書なだけに簡単な説明で次の話題に行くので、興味を持った事項は個別に調べる必要がある。しかし、それも読書の楽しみの一つだろう。2013/10/23