内容説明
黒潮に乗って人々はどのようにして日本にやってきたのかを辿る“海のグレートジャーニー”。太古の人々がしたように、木を伐り、カヌーを作り、帆を織り、縄を綯い、星を見ながら航海に出よう。ひとりで経験するのはもったいない。50年後も生きている若者に、手触りや、匂いや、熱や、ほこりや、雨や、光や、風を伝えたい。旅の準備から航海まで、プロジェクトに関わる若者たちの「気づき」に寄り添う関野吉晴の1130日間。探検家のあらたな境地をひらく。
目次
第1章 いくつもの手触りを追いかけて
第2章 ともに食べ、ともに生きる
第3章 布から縄へ、縄から土へ
第4章 形のないものと世界の繋がり
第5章 海の広さ、空の広さ
第6章 旅は終わり、そしてはじまる
著者等紹介
関野吉晴[セキノヨシハル]
1949年東京都墨田区生まれ。一橋大学在学中に同大探検部を創設、71年アマゾン全域踏査隊長としてアマゾン川全域を下る。82年横浜市立大学医学部卒業、医師となり南米に通い続ける。93年から、アフリカに誕生した人類がユーラシア大陸を経てアメリカ大陸に拡散した約5万3000キロの行程を逆ルートでたどる“グレートジャーニー”をはじめる。南米最南端ナバリーノ島をカヤックで出発、足かけ10年の旅は、2002年にタンザニア・ラエトリでゴールを迎えた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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matfalcon
40
4700キロにおよぶ、すべてが手作りの航海にかかわった若者は200人。彼らは旅のなかで何に気づき、何を考え、これからどんな人生を歩もうとしているのか。彼らの気づきに寄り添った1130日間を記す。2018/07/24
雲をみるひと
34
関野吉晴氏の作品。海のグレイトジャーニーがテーマだが、いわゆるグレイトジャーニーシリーズのような旅日記ではなく船や治具などの材料集めや製作などジャーニーのプロセスへの参加者や船のクルーの内面にスポットを当てている。一部の旅の回想シーンは別にしてグレイトジャーニーシリーズのテンポの良さはないが、作者の教育者としての一面が見えてこれはこれで面白いと思う。2022/02/26
takeapple
8
関野さんがともに黒潮カヌープロジェクトに関わった6人の若者(主に武蔵美の学生だった)にインタビューしたことを元に書いている。スラウェシ島から石垣島まで、手作りの船で(勿論動力は人力と風)航海する海のグレートジャーニーは、あくまでもサイドストーリーで、縄や食を始め航海に関わった人のその後がメイン。旅のあとどうするのか、これは、日本列島に初めて来た人たちだって、ずっと旅をしていたのではなく、日本列島に来てそこで生活していったんだよね。だから私たちがあると思う。みんな様々な気づきがある。こんな旅してみたいなあ。2016/12/30
かんかん
1
関野さんは「いい加減」な感じのする人だ。適当という意味ではなく、いい塩梅という意味で。僕はもう一人こういう人を知っている。決して有名ではないが、偉大な人だ。僕の性質が「完ぺき主義」から「いい加減」に変わりかけているのも、この方の影響。この方を評して「ナタの切れ味」。すっかり関野さんはどこかへいってしまった。今頃はまたペルーあたりか。2013/06/05
taku
1
インドネシアから石垣島まで、道具作りから始めた丸木舟で渡る旅を、参加した若者のインタビューで綴っていく。旅の記録者になるのか当事者になるのか、考え、気づき、選択する姿がかっこよかった。2013/05/07