出版社内容情報
小説と翻訳と短歌を中心にした文学ムック
「たべるのがおそい」はじまります。
わたしたちは誰もが重力というものに支配されています。
「たべるのがおそい」は、その重力を少し弱めてみたいと思っています。
読んでいるあいだ、少し動きやすく、歩きやすい、
それがこの一風変わったタイトルの文学誌の目標です。
西崎憲
Vol.3
2017年4月刊行
掲載内容
■巻頭エッセイ
小川 洋子
■特集:Retold 漱石・鏡花・白秋
倉田タカシ
最果タヒ
高原英理
■創作
相川英輔 今村夏子 西崎憲 ノリ・ケンゾウ
星野智幸 山尾悠子
■短歌
井上法子 竹中優子 永井祐 花山周子
■エッセイ
杉本一文 藤原義也
■翻訳
セサル・アイラ 柳原孝敦訳
黄崇凱 天野健太郎訳
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
74
最も好きな幻想作家の山尾悠子さんも書かれているので購入!他には結婚相手の姉の子供の世話をして災難に会う、今村夏子さんの『白いセーター』や井上法子さんの歌「四本の腕をふりつつ歩みゆく夕暮れ 影には影のよろこび」が良い。2017/06/19
HANA
62
本シリーズは自分の興味のある作家を、必ず一人か二人収録してくる。今回もその例に漏れず、山尾悠子と杉本一文とまあ名前だけで手に取らざるを得ない二人を入れてくる。両者とも当然ながら大満足。特に山尾悠子の文体の魔力は健在で、読んでいるうちにやはり古い銅版画を覗き込んでいる気分に浸れる。今村夏子の「白いセーター」は前作同様、生活の中での不穏な感じがひたひたと迫ってきて素晴らしいし、「カピバラを盗む」「虫歯になった女」も読み応え十分。前号、前々号と変わらず高レベルな作品を収録していて、読んでいてうれしくなってくる。2017/05/17
橘
30
ずっと気になっていた文学ムック。福岡ポエイチの、書肆侃侃房さんのスペースで、まずは大好きな小川洋子さんが載ってるこれから…と思い選びました。始めの小川洋子さん、エッセイとなっていますがラストになるにつれ様子か変わるのが面白かったです。高原英理さん、山尾悠子さんの作品もとても好きです。「カピバラを盗む」も面白かったです。結構、政治的な世界を描かれてるのだなと思いました。1、2と、来月出る4も読むのが楽しみです。2017/09/27
阿部義彦
29
待ちに待った「たべおそ」第三号読了です。編集長の西崎憲さんのセレクトによる短歌と小説の数々、所謂普通の小説は一つも無いところが味噌です今回も今村夏子さんの「白いセーター」短編ですが、割と変な一日、ビートルズの「A day in the life」みたいで見事です。あと高原英理さんのディストピアも良かったし、、トウモロコシが喋る「エスケイプ」も心に残った。今村夏子さんここに来て他誌にも長編を書下ろしで一気掲載で喜ばしい事です。「星の子」も既に読みました。実験的文学誌次号を待ちます。 2017/05/11
有理数
24
山尾悠子が書いているのである。山尾悠子「親水性について」変わらず難解だが、私たちと同じ日本語を扱うのに、この見慣れない、しかし想像力にひとつひとつ突き刺さる言葉の連結は何なのだろう。こちらも堪能した。一方で、今村夏子「白いセーター」最悪、最悪な気持ちにさせられる短編であった。理不尽、無邪気さの凶器である。辛い。こういう気持ちに物語が導いた、それだけ力のある短編である。他、最果タヒ、セサル・アイラの作品がよかった。 2017/05/28