内容説明
厚い鉄のカーテンで遮られていた時代に、西側以上に詳細なソ連の地図はいかにしてつくられたのか?カラー図版約300点収録。特別収録・東京16カ所のソ連製地図。
目次
第1章 戦争と平和―物語の背景‐ナポレオンのロシア遠征からソビエト連邦の崩壊まで
第2章 世界を紙に描きだす―ソ連がつくった世界地図の様式・内容・記号
第3章 策略と計画―表に裏にうかがえる地図作成者の工夫
第4章 復活―ソ連崩壊後の地図発見とその重要性
日本版特別付記 東京
著者等紹介
デイビス,ジョン[デイビス,ジョン] [Davies,John]
英国陸地測量部による地図を研究対象とするチャールズ・クローズ協会の研究誌Sheetlinesの編集にたずさわる。ロンドン在住
ケント,アレクサンダー・J.[ケント,アレクサンダーJ.] [Kent,Alexander J.]
英国カンタベリー・クライスト・チャーチ大学で教鞭をとる、地図製作および地理情報学の準教授。英国地図製作協会会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Koning
30
かつてソヴィエトが作成していた詳細な地形図の数々。今はかなりの数がネット上でも見られるので見たことがある人も多いと思うが(私もそれでちらちら見たことがある)網羅的にこういうのがありましたよ、って紹介されてるので、いろいろとためになる。飛行場で写真撮ったら以下略だった鉄のカーテンの向こう側だけあって、いまだに全容はわからないってのが素敵(というか作ってる方もこれじゃ全容把握できんよね)。足で稼いだっぽい情報とかしっかり入ってるのがさすがで、スパイのいなかった空白地帯はそういう記述もないとかがさすがです。2019/04/22
月をみるもの
17
本邦でも地理院は元陸軍、海上保安庁水路部は元海軍の地図作成部隊だったわけだが、現役の人たちは Google Earth の使い方すら覚束ないみたいなんだよな、これが。。。https://www.asahi.com/articles/ASM8H65LSM7ZPLBJ003.html2019/09/07
imagine
12
ロシアで機密扱いだった地図を読み取ることで、彼らが細部まで世界の国々の情報を収集していたことを伝える一冊。キリル文字が詰め込まれ、色彩も豊かな地図の数々が紙面を大半を占める様は刺激的だ。だが…。序文のミステリーかノンフィクションのような導入は回収されない。著書である地図研究者2名がひたすら地図から作成者の意図を読み取り、スペックを解説することに終始する。形ばかりの結論(侵略攻撃または共産化準備の青写真云々)は述べられるが、関係者証言など取材的要素を期待したため、やや肩透かし。鑑賞用として楽しむには良い。2019/07/23
六点
12
かつて、ソ連という国があった。世界の一方の旗頭であり、超大国であった。その国が狂気とも言える情熱で作り上げた西側世界の地図の記録である。橋一つ取っても橋長のみならず材質、桁高、荷重まで記載されている凄まじい地図である。以前共産圏の地図が今尾恵介氏の著作に紹介されていたことがあり、是非実物を見たいと思っていた。図郭や測地系の無味乾燥な解説を乗り越えた時、ソ連の情熱の物凄さに圧倒される。なお、戦時中のみの出来事と思われる戦時改描は現在の西側諸国で今も行われている事に驚かされた。日本は平和ボケなのか良い国なのか2019/04/22
sasha
11
旧ソ連邦が作成してた世界各国の地図の紹介。本文はひたすら掲載地図の説明なので面白みに欠けるが、多色刷りの地図はキリル文字が読めなくても眺めているだけで十分に楽しい。アフガン侵攻の際、アメリカ軍は旧ソ連作成の地図を参考にしたらしい。それだけ必要な情報が網羅されていたとのことなんだろうな。2019/06/08