出版社内容情報
戦後の台湾文学は、戒厳時期の自由なき時代に生きた台湾人の声を拾いあげ代弁するものだった。そうした情況のなかで台湾の人たちは具体的にどのような形で創作し、何を表現しようとしたのか。
目次
第1部 重層化する歴史とアイデンティティ(一九七〇年代官製文学のなかでの抵抗と台湾意識の再編成―李喬『結義西来庵』における抗日表象の重層性;二二八事件をめぐる歴史描写と戒厳令解除後一九九〇年代台湾社会との関係―李喬『埋冤一九四七埋冤』における孤児意識からの脱却)
第2部 文学の越境と社会での受容(「虚構」の想像と創造―李喬『寒夜三部作』におけるフォークナー作品の影響;台湾文学における一九六〇年代実存主義運動から一九八〇年代民主化運動への展開―李喬「小説」と台湾文学界における安部公房の受容)
第3部 戦争の記憶と反戦への想い(物語化されていく太平洋戦争―李喬『山女』所収の短編小説から『孤灯』への展開;二十一世紀の台湾文学における戦争記憶の継承―呉明益『睡眠的航線』から『単車失窃記』へ)
第4部 郷土想像の変容と拡張(新郷土小説と「七年級」作家―楊富閔「瞑〓会這〓長」と『花甲男孩』、テレビドラマ『花甲男孩転大人』の関係;台湾人と東南アジア出身の外国籍労働者/配偶者との距離―『四方報』および「移民工文学賞」、映画『台北星期天』について)
著者等紹介
明田川聡士[アケタガワサトシ]
1981年、千葉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。獨協大学国際教養学部専任講師。専攻は台湾文学・台湾映画(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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