目次
第1章 ハインリヒ四世―ヴォルムス会議とその後
第2章 ハインリヒ四世とトリブール会議
第3章 カノッサ事件再考
第4章 カノッサ像転換の可能性
第5章 トスカナ辺境女伯マティルデ―ドイツ王権(皇帝権)とローマ法王権の間
第6章 アグネスと改革法王庁
第7章 近年のアグネス像の変化
著者等紹介
井上雅夫[イノウエマサオ]
同志社大学文学部文化史学科教授。同志社大学経済学部卒。同志社大学大学院文学研究科文化史学専攻修了。専攻、西洋中世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
5
カノッサの屈辱に至るまでの、両者の必ずしも対立的でなかった背景と破局。「グレゴリウスが根本的に王を重要な存在と思っていたことは、彼のむしろ保守的伝統的な秩序観からも来るものであり、さらに王の父ハインリヒ三世への彼の個人的な尊敬からも来るものであった。また教会改革の推進のためには王との協力は理想であるばかりか、現実的にも必要なことであった。彼と王は実際、本来は改革問題で協力しようとしていたのに、対立せざるを得なかった背景には、彼とドイツ教会との対立も関係していた」2023/08/30
ケケ内
2
「カノッサの屈辱」という従来の呼称と実際の内容・背景はかけ離れたものである、というのがこの本の主題。潔癖にもみえるローマ法王グレゴリウス7世がツンデレかわいい。破門した後も「謝るなら許してやらんこともない、私と一緒にがんばる気があるなら」ってなんだたまらん。親子ほど年の差のある、彼がかわいがっていたドイツ王ハインリヒ4世に本名で呼ばれバカにされるのが不憫。2人と周囲の関係以外にも、終末論から始まる王権神授説など当時の宗教観がよくわかる。2014/01/21