内容説明
日本人にとって、“糞尿”は、産業であり、文化だった。世界で最も整っていた江戸の“糞尿システム”。裏長屋から、吉原、大奥までのトイレ事情、愛欲の場所だった便所、覗き、糞尿趣味…初の“大江戸スカトロジー”。秘蔵図版・多数収載!
目次
序章 肥桶を担いだ男たち―彼らが百万人都市・江戸の生活と食料を支えた
第1章 汲み取りが都市を救った―江戸時代以前の糞尿事情
第2章 江戸の便所と汲み取り事情
第3章 江戸での都市生活と便所
第4章 下肥の循環システム経済―「黄金の宝」だった糞尿
第5章 明治以降の汲み取り事情
付録 小説・天保糞尿伝
著者等紹介
永井義男[ナガイヨシオ]
小説家、江戸文化評論家、中国古典翻訳家。1949年、福岡市生まれ。福岡県立修猷館高等学校を経て、東京外国語大学外国語学部卒業。1997年、『算学奇人伝』(ティビーエス・ブリタニカ/祥伝社文庫)で開高健賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シルク
18
えーと。。。表紙がトンデモ表紙。おトイレ中の女性を口説きにかかる、江戸の変態だってさ。恥ずかしいので、図書館で借りる際、他の本で隠してカウンターに出した。エロ本を買う男子学生(※想像)かね。さらに中を読んで、この絵につけられていたという台詞にひっくり返る……変態は 火星にでも 飛んでいけや! って気持ちで満々です。……それはさておき。う~ん、興味深い本。江戸の町が、同時代のヨーロッパの都市と比べて、桁違いに衛生的であったというのはよく聞く話。上下水道の整備にそのキーがあったという風に理解していたのだけど、2018/06/11
yyrn
9
百万人の大都市でありながら江戸では糞尿が近郊農業の肥やしとしてシステマチックに利用され、同じ大都市でもロンドンやパリのように垂れ流しをせず、きわめて優れていたとはよく聞く話だが、この本ではそんなに良いことばかりはなく、やはりくみ取り式は臭いし、ばっちいし、運搬は面倒だし、当時だってできれば誰だって関わりたくなかったことを教えられた。だから、併せて書かれている糞尿や性風俗に関する当時の庶民の意識や行動にもうなずくところは多く、道端での立ち小便は女性も普通だったとか。でも、震災直後のことを思い出すと笑えない。2017/06/08
あんこ
9
匂いたってくるような絵がいっぱい。江戸の街は相当臭かったに違いない(笑)。2016/06/07
あぎる
6
表紙はあやしいが、内容は真面目。大学の図書館にあっても問題はない。江戸時代のトイレ、下水処理、西洋の都市との比較などがある。2021/06/14
nishioda
4
人の目につくと恥ずかしい表紙や挿絵で困惑。ただ、内容は濃いし面白い。江戸での糞尿の処理を下町から大奥まで語ってくれているし、対比してのパリの状況なんかも面白いし、寄生虫についても興味深い。2018/04/07