心の傷を癒すということ―大災害精神医療の臨床報告 (増補改訂版)

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  • サイズ B6判/ページ数 443p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784861823398
  • NDC分類 493.79
  • Cコード C0011

内容説明

PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しむ被災者の「心の叫び」と、自らも被災しながら取り組みつづけた精神科医によって、阪神大震災の被災地から届けられた感動の“心のカルテ”。本書は、サントリー学芸賞受賞作に改訂を加え、さらに新たに阪神大震災および災害精神医学に関するエッセイや論考を大幅に増補し、そして著者と関係の深かった方々の文章を収録した決定版。

目次

第1部 震災直後の心のケア活動―1995年1月17日~3月(私の被災体験;精神科救護活動はじまる ほか)
第2部 震災が残した心の傷跡―1995年4月~96年1月(PTSDからの回復;死別体験と家族 ほか)
第3部 災害による“心の傷”と“ケア”を考える(“心の傷”とは?;“心のケア”とは? ほか)
増補第1部 被災地の復興と災害精神医学(震災時の心の風景;震災から四年目の神戸―虚無感と希望 ほか)
増補第2部 安克昌と本書に寄せて(安克昌先生を悼む;『心の傷を癒すということ』、サントリー学芸賞選定の選評 ほか)

著者等紹介

安克昌[アンカツマサ]
1960年、大阪市生まれ。神戸大学医学部卒業。精神科医。阪神大震災において、神戸大学附属病院精神科医局長として、自らも被災しながら、全国から集まった精神科医のボランティアをコーディネイトし、精神科救護所・避難所などで、カウンセリング・診療などの救護活動を行なった。その後も被災者の心の問題と取り組みつづけ、阪神大震災の一年後に、その臨床報告としてまとめた『心の傷を癒すということ―神戸…365日』を刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

寛生

61
【図書館】中井久夫が尊敬する同士/死者、安克昌が阪神淡路大震災で自身も被災しながら精神科医として現場で指揮をとりながら、疲労困憊した中で朦朧としながらも書き続けたもの。まるで地盤が揺れ続く中、死を超えた何かしらの恐怖の中で、安は《心》について考え続ける。予期もせぬ大震災で生活全般がガタガタと崩れ落ちる中、心の傷を癒すということに専念しつづける。そして、安は「心的外傷から回復した人に、私は一種崇高ななにかを感じる。」といい、失ったものを取りもどすことはできなくても、それを乗り越え成長することは出来るという。2015/05/17

mike

9
 今年初めのドラマで安先生のことを知る。震災によるストレスが引き起こす精神的、肉体的疾患だけでなく、家族間不協音。また、今日、災害ボランティアの活躍はあちこちで耳にするが、このボランティアの活動も場合によっては、トラブルとなる事等、被災者の心の傷の深さについて、大変優しい言葉で先生は語る。この様な方が早くに逝ってしまわれたことが本当に残念でならない。2020/12/12

Kazuo

6
精神科医等の「心の専門家」に手による良著は人間や社会への深い洞察を示唆してくれる。阪神大震災で自らも被災しながら、被災者ケアを実践した精神科医のエッセーである本書もそれにあたる。「泣き言を言わず苦しみに耐えることを『美風』とする価値観は、今も日本に健在である」「精神的な問題を訴える人に対して、『なにを甘えたことを言っているのか』といった反応を示す人は少なくない。」。他者や弱者に対する感受性の乏しさが、日本文化の癖ならば、それを直視し乗り越え、雄渾で風通しのよい社会の実現のために、少しでも貢献していきたい。2015/06/06

Nobuko

4
1996年サントリー学芸賞を受賞された本文にさらに阪神淡路大震災のその後や他のPTSDに関する考察やエッセイさらに2000年に安先生が亡くなった後に各界から寄せられた偲ぶ文章を加えられた改訂版。何度読んでも、助けられなかった命を悔やむ人の声、生き残ってしまったという罪悪感など強く気持ちを揺さぶられてしまう。私もルミナリエのあり方については「しっくりとこない部分」があった。震災復興の意味合いも薄れて来た現在、どうなんだろう?と想っている。あれだけの大災害、忘れたくても忘れられない心の傷を多く残したのだから。2019/12/21

uka

3
阪神淡路大震災から瓦礫の下の医療が発展し、PTSDが一般に使われる言葉となった。今ではDMAT,DPATが派遣されるようになったが、それでも心の傷を抱いて人は生きていかなければならない。ナラティブの大切さ、ほかイロイロあるけれど、結局は他人事になってしまう。心のケアを連発するマスコミの在り方には疑問を抱く。とても示唆に富んだ、有益な本だった。2017/06/25

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