内容説明
アヴェルノすなわち冥界の入口。ルイーズ・グリュックの最高傑作。同じ主題のもとに統一された一連の抒情詩が一冊の長篇詩を紡ぎ出す。支配欲の強い母と母離れしたい娘。激烈な心の葛藤と拒食症。長期の精神分析治療。魂との対話。生死を賭けた体験から、ペルセポネ神話を基に新たな神話が生み出される。2020年ノーベル文学賞受賞詩人の真骨頂をみる第10詩集。
目次
夜の渡り
1(十月;さまよい人ペルセポネ;プリズム;火口湖 ほか)
2(宵の明星;風景;無垢の神話;古風な断片 ほか)
著者等紹介
グリュック,ルイーズ[グリュック,ルイーズ] [Gl¨uck,Louise]
1943年、ニューヨーク生まれ。家族、母親、拒食症体験を取り上げながら、日常性から遊離した抽象的、神話的、元型的な詩を書く。2020年、ノーベル文学賞受賞
江田孝臣[エダタカオミ]
早稲田大学文学学術院名誉教授。1956年、鹿児島県生まれ。東京都立大学大学院博士課程退学。中央大学経済学部専任講師、助教授(1985‐2003年)を経て、早稲田大学文学学術院助教授、教授(2003‐2020年)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヘラジカ
45
簡単に一読しただけでは理解するのが難しい詩も多く、良いと思う作品も読み方が正しいか不安に思っていたが、著者自身は「他者の解釈を介さず、直接対峙することを望んでいる」との言葉で逆に少し救われた。一見すると厳しい言葉に感じるものの、読み解き方は人それぞれだと諭しているようにも受け取れる。意味が明確には分からなくとも、私的な体験や人間性が壮大な神話へと接続していく詩は、読んでいて単純に美しく、圧倒された。折に触れて何度も読み返したい一冊だ。2022/03/09
ロビン
18
2020年にノーベル文学賞を受賞したアメリカの詩人グリュックの詩集。先に邦訳された『野生のアイリス』も難解だったが、こちらはそれに輪をかけて難解だった。ギリシャ神話のペルセポネや彼女をさらったハデス、詩人オルフェウスと妻エウリディケの名前が出てきたりして、神話的な世界を思わせるパートと、アメリカの少女の生活の場面や年老いた男の独白のパートなど、いくつもの不明瞭な場面が次々に表れるし、主語も一人称や三人称が入り混じっていて、はっきりしたことは何も提示されないし、分からない。解題も詩人の希望で付されていない。2022/08/19
めまい
4
『野生のアイリス』がとても好みだったので読んでみたがレベル違いで難しかった…。2023/02/22
warimachi
2
『野生のアイリス』より良かった。訳かな。2022/07/01
おかもと
2
なんかめっちゃよかったな。めっちゃよかった。2022/06/14