内容説明
日本の近代ここに始まる。語りつぐ「父なる明治」。「三四郎」「それから」の時代を読む。
目次
第1部 漱石(「菫程な小さき人に生れたし」;鶴のイメージ;行徳の俎の意味 ほか)
第2部 漱石と文人たち(文人たちの短歌―漱石・芥川・林芙美子;花と文人たち;若き血潮の青春譜。旧制高校人国記)
第3部 明治、光と影(明治、光と影。漱石とその時代;無邪気な万歳;出っ歯の亀さんと漱石 ほか)
著者等紹介
半藤一利[ハンドウカズトシ]
1930年東京向島生まれ。東京大学文学部卒業後、文藝春秋に入社。「週刊文春」「文藝春秋」編集長、取締役などを経て作家。『漱石先生ぞな、もし』で新田次郎文学賞、『ノモンハンの夏』で山本七平賞、『昭和史1926‐1945』『昭和史戦後篇1945‐1989』で毎日出版文化賞特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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katakuli365
5
文明批評家としての漱石。日露戦争(1904.1~1905.9)、国家予算2億6千万に外国債13億の借金、戦争費用19億5千万、ギリギリな国状知らせず国民は勝利に浮かれ、立身出世、金権成金、享楽懐疑に至る。(この分野はPDF論文もネットに多いですね)そんな中で、漱石はつつましさを愛し、ユーモア精神に富み、家族を愛した。著者の見つめる観点は情緒深く、漱石の句の選択も素晴らしいです。著者オリジナル戯曲『夢、草枕』は1896年(明治29年) 熊本県の第五高等学校時代が題材。2013/06/28
もくもく
2
先月から、漱石の周辺ばかり読んでいます。夏目漱石の人間的な魅力に、すっかりはまっています。それにしても、著者の半藤一利が漱石の孫娘(松岡譲の娘、当然お祖父さんに会ったことは無い)と結婚していたのは、実はこれまで知らなかった。半藤氏の昭和史関連の著作は、けっこう読んでいたんですがね・・・。2012/12/04
勝浩1958
1
半藤氏は漱石の「菫程な小さき人に生まれたし」と「木瓜咲くや漱石拙を守るべく」の句を座右の銘にしたいそうである。俳句門外漢の私は大高翔著『漱石さんの俳句』で初めて目にした「人に死し鶴に生れて冴返る」の句がとてもとても好きになったのです。その次には「此の下に稲妻起る宵あらん」と「有る程の菊抛げ入れよ棺の中」がお気に入り。夏目漱石さんのおかげで少しは俳句にも興味を持つようになったのです。漱石さんありがとうございます。2012/04/08