内容説明
本書は、国際放射線防護委員会(ICRP)などの国際機関や厚生労働省の放射線規制値がいかに甘く、人間の健康に脅威であるかを、科学的に明らかにする。そして、政府の放射線規制値を現在の10分の1程度に低く、厳しくしないと、私たちの健康は守られないと結論する。また、放射線から身を守る方法も提言する。ダイオキシン研究・環境医学研究の第一人者による渾身の書。
目次
第1章 放射線の基礎知識(放射線;放射性崩壊;中性子線;イオン化(電離)による生体影響
確定的影響と確率的影響
放射性物質と放射能
外部被ばくと内部被ばく
放射線と放射能の単位)
第2章 放射線の人体影響(急性障害;晩発性障害)
第3章 内部被ばくと外部被ばく(ヨウ素とセシウム;ラドン、宇宙線とカリウム四〇)
第4章 身を守る法(線量限度と摂取制限;食品成分)
著者等紹介
長山淳哉[ナガヤマジュンヤ]
1947年高知県生まれ。九州大学大学院医学研究科博士課程修了。米国・国立環境保健研究所生殖発生毒性学部門博士研究員を経て、九州大学大学院医学研究院准教授。医学博士。大学院時代、ライフワークの原点ともなったカネミ油症の原因物質PCDFs(ダイベンゾフラン、ダイオキシンの一種)を発見。以来、ダイオキシン研究・環境問題研究の第一人者として活躍を続けている。2010年には胎児性油症の原因物質もPCDFsであることを証明した。専門は環境分子疫学、環境遺伝毒性学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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coolflat
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1950年からの放影研の追跡調査対象は、急性死亡を免れ、身体的に放射線に強く、被曝後5年以上生きのびた人々だ。この間に死亡した人々に比べれば、放射線に対する感受性が低く、身体的にも強靭であった。つまり放影研のデータは根本的に偏るため、放影研の調査の結論は揺らぐ。とすればICRP勧告はその根拠を失い、同時にこの勧告に従って世界各国で採用されている規制値もその根拠を失う。しかし被曝のリスクをゼロとすることができない以上、どこかに妥協点を見出さねばならない。妥協として著者はゴフマンのリスクレベルを提案している。2013/10/17