出版社内容情報
80年代以降、混迷の度を深める文学研究・文学教育研究界。異なる分野の俊英たちによる、刺激的論文集。
内容説明
日本近代文学研究者とフランス文学研究者による、原理的地平からの文学再生・再建への提言。
目次
1 テクスト論の行方(ロラン・バルト『明るい部屋』とソシュール―審美的個人主義・共通感覚・伝統的時間をめぐって;国文学に「偉大な敗北」はあるか―人文学の総崩壊を目前にして;間テクスト性;小説ディスクールの戦略;詩のテクストと「声」;テキストの外から、そしてテキストの外へ;十八世紀フランスの饒舌な他者―サド)
2 批評と「政治」(記憶と表象―ナラティヴをめぐる随想的断章;デモクラシーと人間―トクヴィルの政治哲学;社会科学と批評の間―戦後日本における知の連関)
3 個別作品読解(語りと記憶―『山月記』と多喜二の二作品;「読み」の更新―浜田廣介「鬼の涙」を読む)
4 文学論と批評(小説/ノヴェル/ロマンとは何か―概説と私見;文学への懐疑―中村光夫を文学の現在に取り戻すために;大学改革の中の文学教育・文学研究;作品論・テクスト論・文化研究―グローバル化のなかの文学研究;「批評」の復権、「文学」の復権―「近代文学の終り」という発言をめぐって;小説は何故(Why)に応答する―日本近代文学研究復権の試み)
著者等紹介
松澤和宏[マツザワカズヒロ]
1953年生。名古屋大学大学院文学研究科教授。1988年パリ第8大学フランス文学科にて文学博士号取得。現在、フランス国立科学研究センター近代テクスト草稿研究所フローベール班準メンバー、ソシュール研究所(パリ)学術委員。著書に『「感情教育」草稿の生成批評研究序説―恋愛・金銭・言葉』(1992年・フランス図書、渋沢クローデル賞)、『生成論の探究―テクスト・草稿・エクリチュール』(2003年・名古屋大学出版会、宮沢賢治賞奨励賞)などがある
田中実[タナカミノル]
1946年生。立教大学大学院文学研究科博士課程満期退学。現在、都留文科大学文学部国文科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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