内容説明
午歳夫婦の山あり谷あり、相変わらずの泣き笑い。夫の放蕩、妻の折檻、浪花の夫婦、今度は九州へ。別府の地で暮らすあの蝶子柳吉、その後はいかに―織田作之助の『夫婦善哉』には続きがあった。幻の続編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たつや
48
又吉がお勧めしてたので、読んでみました。おそらく、昭和初期や、明治、大正の頃の大阪が舞台。極貧にあえぐ夫婦が年中、借金取りに取り立てられるところから始まり、当時は醤油、油の必需品もつけで買っていたんだなqと、時代を感じる。きっと、東京でも、九州でも、同じだったんでしょう。路地で天ぷら売ったり、共同便所が臭かったり、芸者になった蝶子と種吉夫婦の物語。どこか、哀愁漂う。読んでよかった。2016/11/16
那由多
15
水のようにどこにも引っかからず、サラサラと体に入っていくオダサクの上手い文章。世相や心情の裏まで読み解こうと思えば読めるし、二人の破れ鍋に綴じ蓋な関係だけでも読んでいける二面性を持つ作品。正編と続編が揃っての完成品であり、続編がなければダメ男に尽くすだけの成れの果てで終わってしまいかねなかった。続編の直筆原稿が全て掲載されており、これには胸が踊った。2019/06/18
erierif
6
やっぱり面白かった!さりげなく、良くできてますね〜。そして続編も良かった!同じ雰囲気かと思っていたら、2人は円熟し、世の中は困難な時代になりつつあっても大丈夫な感じで良かったです。現代も夫婦やカップルって浮き沈みするよな-と思いながら読みました♪2011/03/25
ヴァン
4
めおとぜんざい、と読む。もうずいぶん昔に詩人で映画評論家の杉山平一という人の映画の本の中で、この夫婦善哉の作者、織田作之助の名前を知った。杉山平一とは文学仲間だったという。昭和15年の作品で古い小説ファンには名作として知られる。恵まれた家庭を捨てて、芸者の蝶子と暮らす柳吉の日常が綴られる。何度も商売に失敗し、遊び好きのしょうがない柳吉と蝶子の二人の背後には戦争の時代背景があるはずなのだが、そこにはほとんど触れないところがこの作品の特色かもしれない。純文学ファンにはオススメです。2014/09/22
hiloaki
3
小さい頃普通に飛び交ってた話し言葉。読み易い。こんなのまで今初めて読むのはやっぱり小説嫌いのなせる業w 夫婦善哉はどっちかというとテレビでやってた蝶々雄二の夫婦善哉でしかイメージなかったくらい。織田作之助ももっさいイメージだったが、実はかなりイケてるし。今更ながらちょっとファンになりました。2016/12/22