出版社内容情報
《内容》 大航海以来の壊血病を巡る様々な主張,観察,論理の展開などを振り返り,それが多種多様な学説へと進み,ついにはビタミンCの分離と合成へと実を結んでいった過程を詳細な資料に基づき明らかにする.研究者間での解釈の相違を想定して,誤った説をも含めた諸説が紹介される.
内容説明
ヴァスコ・ダ・ガマから現在までの壊血病とビタミンCをめぐる著名な人物たちの驚くべき物語。1932年、ビタミンCはようやく発見され、大量生産されるようになったが、物語りはまだ続く…。
目次
1 探検家たちの病気(1498~1700)
2 学者たちの著作物(1540~1700)
3 イギリス海軍における壊血病(1700~1772)
4 クック船長と気体の化学(1770~1815)
5 陸上での壊血病・ポテト・カリウム(1810~1905)
6 北極圏での問題とプトマイン中毒説(1850~1915)
7 乳幼児壊血病:豊かさの中の新しい病気(1877~1917)
8 モルモットとビタミンCの発見(1905~1935)
9 ビタミンCの所要量と摂取量(1935~1985)
10 温故知新
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
富士さん
1
通読して、副題の「権威主義」と「思いこみ」の科学史というのはちょっと酷なのではないかと思いました。ここで語られている壊血病の治療史は真面目な医療の歴史であり、誠実な努力の記録です。そこに権威主義や思いこみを見るならば、それは人の営みに必然的に付きまとうものであって、善意や誠実さではどうにもならないものです。科学や医学と言えば不動の真理であると考えるとこの迷走は異常に見えるかもしませんが、科学者も医者も社会で生きる人である以上、それがする研究が明快な答えを常に導き出せると考える方がありえないのだと思います。2013/07/10