“沈黙”の自伝的民族誌(オートエスノグラフィー)―サイレント・アイヌの痛みと救済の物語

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“沈黙”の自伝的民族誌(オートエスノグラフィー)―サイレント・アイヌの痛みと救済の物語

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  • サイズ A5判/ページ数 300p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784832968578
  • NDC分類 316.81
  • Cコード C3036

出版社内容情報

●本書の特徴

アイヌの出自を持つ著者の「私」が、自己の存在を歴史化し、沈黙を構造化することで「サイレント・アイヌ」が生きる世界の一端を明らかにする。名もなき人びとが生きた歴史とはどのようなものであったのか、なぜ「私」の姿は人びとに見えないのか。家族史・自分史を紡ぎながら、マイノリティ等の声なき主体の問題を描き出す。

●版元から

*「第38回大平正芳記念賞<正賞>」受賞(2022年2月28日更新)

●目次

プロローグ──〈沈黙〉という問題領域(プロブレマティーク)

第1章 序 論──透明人間の声を聴く
 1.本書の目的──「サイレント・アイヌ」の世界を/から問う
 2.本書の構成
 3.調査の概要

第2章 他者表象の死角と沈黙
 1.ポストモダンの人類学とポストコロニアル論
 2.サバルタン論
 3.分類理論

第3章 自伝的民族誌(オートエスノグラフィー)の方法論
 1.ライフヒストリーとライフストーリー
 2.自伝的民族誌(オートエスノグラフィー)
 3.中動態理論と当事者研究

第4章 家族史(ファミリーヒストリー)──もうひとつのポストコロニアル状況
 1.つ る──アイヌプリから日本社会への編入
 2.ツヤコ──〈日本人〉へ
 3.イツ子──引き裂かれる自己

第5章 真 衣──「サイレント・アイヌ」の物語
 1.出自に向き合う通過儀礼──〈分離〉
 2.存在の透明化と声の喪失──〈過渡〉
 3.混沌(カオス)を生きる──〈再統合〉

第6章 現代アイヌ民族概論
 1.現代アイヌ民族を取り巻く状況
 2.「アイヌ民族」の名づけと名乗り
 3.20世紀初頭の「アイヌ民族」
 4.第二次世界大戦後──「少数民族」から「先住民族」へ
 5.自己表象の分析

第7章 結 論
 1.「目覚めを待つもの」とdecolonization──脱植民地化
 2.自伝的民族誌(オートエスノグラフィー)が照らす世界
 3.サバルタンの生成論理
 4.光と闇

エピローグ──〈沈黙〉という希望=創造=暴力


参照文献
謝辞(博士学位論文)
あとがき
事項索引
人名索引



●著者紹介

石原 真衣(イシハラ マイ)
1982年サッポロ生まれ。母方の祖母がアイヌ、父方の祖母は琴似屯田兵で会津藩士の出自。アメリカ留学を経て大学卒業後、英語教員として勤務。北海道大学大学院に進学し博士号取得。北海道大学アイヌ・先住民研究センター助教。文化人類学。

■主要論文
「「サイレント・アイヌ」を描く──〈沈黙〉を照らすオートエスノグラフィーの可能性」『北海道民族学会』、北海道民族学会、14巻、2018年、1-31頁
The Silent History of Ainu Liminars, Critical Asian Studies Special Issue; Hokkaidō 150:Settler Colonialism and Indigeneity in Modern Japan and Beyond, Vol. 51. No. 4, 2019, pp. 17-21
「われわれの憎悪とは──「140字の世界」によるカタストロフィと沈黙のパンデミック」杉田俊介・櫻井信栄・川村湊(編)『対抗言論 反ヘイトのための交差路1号:ヘイトの時代に対抗する』法政大学出版局、2019年、185-195頁
など

内容説明

まだ、語られたこともなく、気がつかれたこともなく、歴史にも、社会にも存在しない、私の痛みが、確かにそこにあった―。溢れ出る「不在の言葉」たち。

目次

プロローグ―“沈黙”という問題領域
第1章 序論―透明人間の声を聴く
第2章 他者表象の死角と沈黙
第3章 自伝的民族誌の方法論
第4章 家族史―もうひとつのポストコロニアル状況
第5章 真衣―「サイレント・アイヌ」の物語
第6章 現代アイヌ民族概論
第7章 結論
エピローグ―“沈黙”という希望=創造=暴力

著者等紹介

石原真衣[イシハラマイ]
1982年サッポロ生まれ。母方の祖母がアイヌ、父方の祖母は琴似屯田兵で会津藩士の出自。アメリカ留学を経て大学卒業後、英語教員として勤務。北海道大学大学院に進学し博士号取得。北海道大学アイヌ・先住民研究センター助教。文化人類学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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どんぐり

83
博士論文をもとにした書籍。アイヌの出自に〈自伝的民族誌〉の手法からアプローチし、現在置かれている状況を論じている。キー概念はサイレント・アイヌ。12歳の時に母親からアイヌの出自であることを告げられた著者は、28歳で北大大学院に入学するまで自己をアイヌと認識する場面はなかった。アイヌとして共有できる経験も文化もなく、著者は「和人とアイヌという言葉を聞くとき、自分がどちらなのかわからない」という。そこでアイヌの出自を持ち、自己が何かわからなくなり沈黙している人々を指す用語として「サイレント・アイヌ」を提唱し→2023/12/12

コウヘイ

4
アイヌのルーツを持ちながら、アイヌ文化に帰属意識を持つこともできず、かといって差別に苦しみ和人社会と同化して生きてきた先祖の歴史を否定して和人としても生きることもできない、社会の「異物」「第三項」として生きるアイヌの女性の物語。彼女による彼女の家族の物語を聞くことで、(それが個別具体的なアイヌ家系の物語であることは承知の上で)各時代におけるアイヌの人々の置かれた状況、意識の変化を感じ取れる。2022/04/15

thugu

2
自分が正しいと思ってやっていたことで、誰かが痛みを感じていたかもしれないと、考えさせられた。自分の枠組みで分類するのは危険である。分類できないときに情けをかけるようなことをしては、相手の尊厳を損ねるだけだとも思った。 以下、印象に残った箇所。〈他者の声を奪わないということは、想像するよりもはるかに難しいことだと思う。ある首長を行うことは、その主張に合わない声を排除する可能性を持つ。正義や善意が組み合わせられると、自体はより一層複雑になる。〉 2021/08/03

いたる

2
北海道におけるポストコロニアルな歴史によって、アイヌと和人という2つの枠組みからこぼれ落ちてしまう人々の存在を、オートエスノグラフィーの手法で明らかにする。非常に重みのある読み応えでした。 2021/06/26

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