出版社内容情報
●本書の特徴
自民党はなぜ時代の変化を乗り越え長期政権を維持できたのか。政権交代、政党、政策、有権者、外交という切り口からその「秘密」を機能的・構造的に明らかにする。自民党を中心に、1955年以降現在にいたるまでの日本政治をわかりやすく包括的に論ずる、藪野政治学の入門書。
●目次
刊行によせて………岩下明裕
まえがき
序 章 本書が描こうとするもの
政治学の方法論――思想・運動・技術 / 「科学」としての政治学 / 本書のアプローチ /
本書の分析すべき対象 / 政治構造の三要素 / 戦後日本政治の歴史 / 「高齢期・日本の
現代政治」をリセットする
第1章 政権交代――政党政治の原点
政権交代と選挙制度 / 自民党の歴史――単独政権と連立政権 / 出発点の自民党――保
守合同 / 安保闘争から高度成長へ / 1955年体制 / 派閥抗争――イデオロギーと勢力
関係 / 利益代表としての政党 / 1993年から始まる政権交代 / 1994年――「禁じ手」
社会党との連立 / 1999年――選挙協力のための自公連立 / 民主党の躍進 / 選挙によ
る政権交代 / 政権を維持し続ける自民党
第2章 政 党――組織政党と議員政党
政党とは何か / わたしが国会議員になろうとすると / 個人資金はどうなるのか /
1994年という分水嶺 / 派閥支配から党中央による支配へ / 政党のプロフィール / 自
民党の強靭さ――選挙と資金 / 組織政党としての自民党 / 議員政党の限界 / 民主党
の変貌 / 一強多弱体制への転換 / 小選挙区制の問題点 / 政治資金と候補者の資質を
めぐる問題点
第3章 政 策――ナロウ・パスとワイド・パス
政策決定の複雑さ / ハイ・ポリティクスとロウ・ポリティクス / パスの実例――体制
選択と生活選択 / もう一つのパス――ワイドとナロウ / ワイド・パスの政治――岸信
介から田中角栄へ / ワイド・パス期の諸問題 / 中曽根内閣の処方箋 / 開発独裁 / ナ
ロウ・パスの時代 / 小泉改革 / 民主党のポスト小泉改革 / ワイド・パスへの復帰? /
安倍政権はなぜ「成功」したのか / 政権交代は政策選択の結果ではない
第4章 有権者――浮動票と無党派層
なぜ有権者が研究テーマにならないか / 日本における三つの法的枠組 / 投票率の推移 /
有権者を取り巻く社会的背景――大衆社会 / 市民社会 / 市民の四類型 / 有権者とし
ての市民と大衆、分権化 / 固定化された投票行動 / 浮動票を取り込め / 生活選択パス
と浮動票 / 無党派と浮動票の違い / 流動化する有権者
第5章 外 交――安保と憲法
日本外交の再起動と憲法問題 / 平和条約、日米安保、日ソ国交回復 / 韓国・中国との
「和解」 / 非核三原則と沖縄 / 東南アジア、そして残された課題 / ポスト冷戦と北東
アジアの課題 / 冷戦を生き延びる北朝鮮 / ポスト冷戦――北朝鮮の選択 / 北朝鮮を
めぐる新しい状況 / 危機の日本外交――拉致問題とは何か / 防衛と自衛隊 / 湾岸戦
争、海外出動、PKO / 海外出動、武器使用、集団的自衛権 / 「陽だまり」のなかで /
体制選択パスとしての九条問題を越えて
終 章 小国日本のすすめ
1955年体制に回帰するのか / 政界再編の可能性 / 保守二大政党へのシフト / 小国日
本のすすめ
参考文献
解 説 藪野政治学の特徴とその魅力………熊野直樹
索 引
●著者紹介
藪野 祐三(ヤブノ ユウゾウ)
専攻 現代政治分析
1969年 大阪市立大学法学部卒業
1969年 大阪市立大学助手
1974年 北九州大学(現・北九州市立大学)法学部講師、助教授、教授。
1992年 九州大学法学部教授
2000年 組織改編により、九州大学大学院法学研究院教授
2010年 九州大学名誉教授
現在に至る