内容説明
ミルチア・エリアーデとヨアン・ペトル・クリアーヌは戦後を代表する宗教学者とされる。彼らは宗教学者として活動する一方で、イタリアやフランス、アメリカを拠点とするルーマニア人亡命者組織においても言論を展開したが、その内実に関しては現在にいたるまで未解明の状況が継続している。本書は亡命者組織における彼らの言論的特徴を整理し、宗教研究、文学創作との関連性を解明する。
目次
第1部 亡命者エリアーデの思想活動とエリアーデ宗教学(ポルトガル滞在期におけるエリアーデの思想形成;ルーマニアに対するエリアーデの罪責意識と宗教理論の形成;亡命者エリアーデの思想におけるエリアーデ宗教学)
第2部 亡命者エリアーデの思想活動とエリアーデ文学(エリアーデ文学をめぐるエリアーデとクリアーヌの対話;エリアーデ文学における「精神」概念に関する考察)
第3部 エリアーデとクリアーヌの関係(鉄衛団運動をめぐるエリアーデ批判とクリアーヌ;ルーマニア社会主義政権との闘争におけるエリアーデとクリアーヌ;クリアーヌからみたエリアーデ宗教学批判の再考)
著者等紹介
奥山史亮[オクヤマフミアキ]
2011年北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)取得。日本学術振興会特別研究員を経て、現在、北海道大学大学院文学研究科専門研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mittsko
3
やっと読めた、奥山さんには沢山教えていただいたので、肩の荷が下りた((+_+)) 宗教学関係者には議論の余地なく必読書、だが無論、本書が惹起する関心はそれにとどまらない。昨今易々と全面否定されるエリアーデ宗教学(ボクはそれに反対)、その歴史的な背景と意義を精確に言い当てようとする本書。 特筆すべき点 ⇒ ※クリアーヌとの関係を重視する ※ルーマニア語資料を多用する ※亡命者、反共主義者としてのエリアーデ像を立て、そこからその思想の読解をおこなう ※エリアーデの書簡や文学作品を積極的に読む… 決定的な仕事だ2017/12/07