内容説明
米国とメキシコの国境地帯の先住民族ヤキ。米国に住むパスクア・ヤキをトライブとしての政府認定に導いた要因とは―。彼らが法的、社会的、文化的に米国先住民という枠組みに編入される過程を踏まえつつ、米国先住民研究の観点から考える。
目次
第1章 現代のパスクア・ヤキを取り巻く議論(エスニック・スタディーズおよび米国先住民研究の観点と手法;米国におけるインディアン・トライブ認定制度;米国における個人単位での先住民認定制度;ヤキの文化と社会;パスクア・ヤキは米国先住民か―1994年の論争;先住民と米国=メキシコおよび米国=カナダ国境)
第2章 メキシコにおけるヤキの反乱と越境の再考(メキシコにおけるヤキの迫害;迫害期のメキシコ政府によるヤキ政策;米国のメディアにおける迫害期のヤキ像;ヤキの米国集団移住の再考)
第3章 米国南西部における観光産業と先住民(アリゾナ州トゥーソン市の米国編入と開発;米国南西部の開拓と観光産業の振興;先住民の観光資源化;観光産業とヤキの人々の関わり)
第4章 難民労働者から米国先住民へ(アリゾナ州におけるエスニシティ;ヤキと南西部の労働市場;ヤキと米国の移民政策;アメリカ・インディアン運動との連動;汎インディアン意識の広まり;ニューエイジ運動によるヤキ・イメージの創造)
第5章 先住民認定後のパスクア・ヤキ社会(保留地を基盤としたトライブ運営と現在の暮らし;誰がパスクア・ヤキに属するのか―個人認定と語りを巡って;パスクア・ヤキと米国の人々の関係性;パスクア・ヤキと、パスクア・ヤキ研究の展望)
著者等紹介
水谷裕佳[ミズタニユカ]
2006年、カリフォルニア大学バークレー校エスニック・スタディーズ研究科客員研究員(~2009年)。2009年、博士号取得(上智大学・地域研究)。北海道大学社会科学実験研究センターを経て、現在、北海道大学アイヌ・先住民研究センター博士研究員。専門は米国先住民研究、文化人類学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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