北海道大学大学院文学研究科研究叢書
現代本格ミステリの研究―「後期クイーン的問題」をめぐって

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  • サイズ A5判/ページ数 239,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784832967328
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C3095

内容説明

1980年代後半に劇的な復活を遂げ現在に至るまで様々なメディアで人気を博している本格ミステリ。小説とゲームを読み解きながら謎解きの(不)可能性をめぐって繰り広げられたその具体的展開を追う。

目次

序章 「後期クイーン的問題」をめぐって
第1章 多層化する境界線―氷川透『人魚とミノタウロス』論
第2章 本格ミステリ殺人事件―麻耶雄嵩『翼ある闇』論
第3章 九〇年代本格ミステリの延命策
第4章 置き去りの推理―『逆転裁判』編
第5章 並立の推理―『逆転裁判2』論
第6章 操りという幻想―西澤保彦『神のロジック 人間のマジック』論
第7章 現代本格ミステリのアポリア
終章 本研究の成果と課題

著者等紹介

諸岡卓真[モロオカタクマ]
1977年福島県生まれ。2008年北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)(北海道大学)。現在、北海道大学大学院文学研究科専門研究員、藤女子大学ほか非常勤講師。専門はミステリ論、テレビゲーム論。論文に「九〇年代本格ミステリの延命策」(「ミステリーズ!」vol.3、2003年、第10回創元推理評論賞佳作)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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オフィス派の宇宙図

3
後期クイーン問題の「解決策」は主に下記の三つ ①メタフィクション化 ②探偵の絶対化 ③超自然的要素を入れる どれも閉じた作品世界内できっちり解決させようとはせず、どこかしら作品世界に「穴」を空けようとする手法だ。閉じた世界のなかでいかに世界について知りうるかという問題は哲学の伝統的問題なので、そこからの知見を利用する手もあるな。2013/10/21

NaCl

1
後期クイーン問題の発生経緯と論点の整理、それに対して本格ミステリというジャンルがどう向き合ってきたのかが簡潔にまとめられている。推理小説が小説という「閉じた世界」である以上発生しないことは論理的にありえないわけだし著者がメタな形での介入を行うか探偵という装置に特権を与える以外に回避の手段は無いっぽい2014/12/17

鳩羽

1
後期クイーン的問題に対して、新本格の作品がどのようにその問題に取り組み、または回避してきたかを作品の精緻な分析から探る。筆者の後期クイーン的問題の回避としてまとめたものをさらに横着にまとめると、いかにしてメタ視点を作品に接続させるかという感じになるだろうか。本格ミステリは終わりだという問題意識がある種の終末観となって、様々なメディアを巻き込みながら盛り上がっていったようにも見える。極度に記号化された人物はキャラ化とも相性がよく、完全なゲーム空間の構築は不可能性でも、駒の配置はしやすくなったのでは。2013/12/09

c

1
所謂「後期クイーン的問題」は、別段「メタ犯人」や「操り」に特化した問題ではないという、至極真っ当な指摘に快哉。最近では麻耶の新作も、例の如く「後期クイーン」で片付けられていて辟易していたところだ。これ以上問題の矮小化が進むのなら、最早、提唱者である法月綸太郎の単に個人的な蹉跌に還元すべきではないかとすら思う。事実、法月は本格の決定不可能性に懊悩し、(間に京極夏彦が登場したショックもあったと述懐しているとはいえ)十年以上も実作から遠ざかっていたのだから。2010/11/02

naoya_fujita

0
『逆転裁判』論が素晴らしい。2014/06/03

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