出版社内容情報
ベッサラビアを事例に、帝政ロシアによる辺境統治に、単なる民族政策だけでなく、膨張政策の道具としての利用という新視点を提示する。
目次
序章(研究の目的と視角;ベッサラビア研究史について ほか)
第1章 ロシアの南下政策とベッサラビアの成立(ベッサラビア併合までのロシアのバルカン進出;ベッサラビアの風土、社会階層、民族)
第2章 バルカン情勢が生んだ総督府(新たな正教地域の創出;エテリア蜂起とノヴォロシア・ベッサラビアの統合 ほか)
第3章 対外政策としての「大改革」(統一ルーマニアの誕生者まで;アレクサンドル・クザの改革 ほか)
第4章 ビザンツ法文化圏のなかのベッサラビア(ビザンツ帝国の諸法典;ドナウ二公国におけるビザンツ法継受 ほか)
第5章 ロシアの正教外交とベッサラビア外国修道院領(ドナウ二公国の外国修道院問題;ベッサラビアの外国修道院問題 ほか)
著者等紹介
志田恭子[シダキョウコ]
1971年生まれ。2006年北海道大学大学院文学研究会博士後期課程修了。2006年‐2009年3月北海道大学スラブ研究センター学術研究員、北海道大学スラブ研究センターCOE共同研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ユビヲクワエルナマケモノ
2
著者が「大学において学位を取得した論文を加筆・修正したもの」。手軽に読めないと覚悟して読んだが、非常に知見を広げてもらえる貴重な読書ができた。まず冒頭のベッサラビアの地図。前回読んだ『女帝エカテリーナ』に出てくる露土戦争中の地名が詳細に記載され、これだけでにんまり(笑)続いて「南下政策」で黒海や例の海峡ばかりに注目しがちだったが、印象の薄い辺境のイメージのベッサラビア自体が、ロシアには色々な点で重要な―俗に言えば実入りのいい面も含んだー地方だったことが分かる。しかもそのあがりは「正教外交の財源」だった!→2024/03/29