内容説明
浄瑠璃作者として同時代に活躍した紀海音と近松門左衛門。それぞれを互いの合せ鏡として映し出す作業は、二人の位相を定位する作業ともなる。その先に見えてくるものは、従来より繰り返される近松の優位性の強調では決してなく、二人の独自性のより鮮明な再認識となる。
目次
第1章 海音の時代物(海音の趣向の整理;海音の「場」と趣向;海音と『伊勢物語』の和歌 ほか)
第2章 海音の世話物(『なんば橋心中』論;『八百やお七』論;世話浄瑠璃「三部作」考―“滅罪”の構想をめぐって)
第3章 近松の浄瑠璃(時代物浄瑠璃の発想を巡って―曽我物を中心として;『冥途の飛脚』考―封印切の背景;『心中天の網島』考―「意見」と背景)
著者等紹介
冨田康之[トミタヤスユキ]
1958年名古屋生まれ。1987年名古屋大学大学院博士課程後期課程単位取得満期退学。名古屋女子大学助教授を経て、現在、北海道大学大学院教授。博士(文学)
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