内容説明
本書は、明末以降の華中・華南地域の農村社会で広汎に展開した抗租―小作農民である佃戸の地主に対する佃租(小作料)納入拒否闘争―について、その社会経済的な特質を中国の東南沿海に位置する福建省を地域的対象として考察するとともに、抗租に関連するいくつかの問題、すなわち国家権力の対応、郷村システムの形態、さらには佃戸の特異な行為(図頼)について検討を加えることで、明清時代の抗租をめぐる具体的な歴史像を構築しようと試みたものである。
目次
第1部 抗租と福建農村社会(明末以降の福建における抗租の展開;雍正年間の崇安県における抗租の展開;抗租と阻米―明末清初期の福建を中心として;沙県―清代福建の一地方社会)
第2部 抗租と明清国家(清代前期福建の抗租と国家権力;抗租と法・裁判―雍正五年の「抗租禁止条例」をめぐって)
第3部 保甲制と福建郷村社会(明末の福建における保甲制の展開;長関・斗頭から郷保・約地・約練へ―福建山区における清朝郷村支配の確立過程;明代里老人制の再検討)
第4部 図頼と伝統中国社会(抗租と図頼;軽生図頼考;伝統中国における図頼の構図)
著者等紹介
三木聡[ミキサトシ]
1951年北海道に生まれる。1974年北海道大学文学部卒業。1980年北海道大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、高知大学人文学部教授・博士(文学)
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