内容説明
本巻は、「複数の近代」という表題を付している。「近代」をめぐる最近の議論では、「仮想の近代」とか「未完の近代」といった言葉が語られる。それぞれの論者に「近代」に対するプラスあるいはマイナスのイメージがある。本巻の筆者たちの間では、しかし、こういったイメージの問題について議論されていない。どちらのイメージをもつにせよ、あるいはもたないにせよ、共通の前提となっているのは、「近代」が多様、あるいは、多義的であって、それぞれに定義するのでなければ、この概念自体用いることができないということである。この意味で、本巻の表題は選択された。
目次
1 国家の誕生(対論を求めて;中世後期ドイツの領邦と家門;共和制の時間と空間)
2 アジアの近代(近世日本における「神の見えざる手」;東アジアの国籍と近代;中国で近代法はなぜ拒絶されるか)
3 近代国家の変容(領域国家の終焉;階級政治論の再構成)
著者等紹介
小川浩三[オガワコウゾウ]
北海道大学大学院法学研究科教授、法学史
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