内容説明
カヤックとテントが全財産。メキシコ湾まで3000キロ、ミシシッピ川を巡る笑いと困窮のノンフィクション。
目次
第1部 ミズーリ川編―サウス・スーシティ~セント・ルイス(ホームレスへの転落;フォールディングカヤックとは;ホームレス3日目の事件 ほか)
第2部 ミシシッピ川前編―セント・ルイス~セントフランシスビル(ミシシッピ川の巨大船;蛇口の水はどこから来る?;孤島の鳥は肌の色を気にしない ほか)
第3部 ミシシッピ川後編―バトンルージュ~メキシコ湾(バトンルージュとタンカー船;発がん横丁;ルイジアナの苦難 ほか)
著者等紹介
佐藤ジョアナ玲子[サトウジョアナレイコ]
1996年、東京都港区生まれ。日比ハーフ。東京都立工芸高校卒業後、生物学を志し米・ネブラスカ州に大学留学。現在はコロラド州のダン・フレンチ剥製工房にて剥製師を目指して修行中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
115
ぶっ飛んだ旅行記。ミシシッピー川3000kmをひとりでカヤックで下る旅。東京生まれ東京育ち、アメリカに留学するもホームレスになり、家がなければテントに住もう、それならテントで移動しようと、カヤックに全財産を詰めてネブラスカ州からルイジアナ州の河口まで旅した。途中多くのリバーエンジェルに宿泊や食事を提供してもらい、たくさんの人たちと出会う。そしてたっぷりある暇な時間。ミシシッピー川に無数の無人島があり、ひとりで白い砂浜でプカプカしている至福の時間。その川で出会った剥製工房での仕事。毎日サバイブする旅の記録。2022/11/30
どんぐり
97
海外留学先でアパートを追い出された女子大生が、テント生活をしながらネブラスカ州のサウス・スーシティを出発し、セント・ルイス~セントフランシスビル~バトンルージュ~メキシコ湾に至る全長3000キロのミシシッピ川を一艘のカヤックで下る旅。費やした期間が約3か月、使ったお金が10万円。川を下る旅人に寝床と食事を提供してくれる川岸の住人(リバーエンジェル)との出会いや、川に点在する無人島でのキャンプにアメリカンビーバーやアリゲーターと遭遇したり、巨大なまずを釣り上げて調理するなどワイルドなアウトドア生活の記録。2023/01/04
こばまり
58
タフな状況にも関わらず、なんと飄々とした明るさを持つ人か。若くしてすでに大物だ。ミシシッピ川沿いの自然環境や人々との交流を通して見えてくる現代アメリカの姿に興味津津。人柄のいい人の周りにはこれまたいい人が集まるという好例。 2022/06/05
seacalf
56
トム・ソーヤの冒険を読んだばかりで、これ幸いと手に取ったが大当たり!日本の国公立よりも学費が安いネブラスカ州の大学を選んだ女子大生が家無し子になり、川下りの旅に出る。愉快な旅仲間に川旅の流儀を教わったり、手助けをしてくれるリバーエンジェル達に出会ったり、NYの大金持ちと川遊びをしたり、米文化を実地で学ぶエピソードも豊富な実り多き旅。乾いた文体で読み易いのも高印象。カヤックの上で立ったままトイレしたりかなりワイルドな旅だが、ネイルをつけて元気付ける女子らしさも忘れない。これは誰かにおすすめしたくなる面白さ。2022/08/31
つちのこ
42
タイトルを見てあなどっていたが、これは一級の冒険記だ。「アウトドアは、お金を出して苦労を買う変態的な遊び」と言い切り、野宿を重ねて3000㎞をカヤックで漕ぎ下る。クライミングや冬山、アコンカグアに登る実績をもった素地がなせたチャレンジである。立ち寄る先々で貧富格差や人種差別といったアメリカ社会の現実に直面し、自らの立ち位置を見つめていく旅は貴重な経験。将来の仕事を見つけたことを含めて、旅での見聞は生きてく上での強い意志と精神的な成長を促したようだ。文章力もあり、キャンプ料理の数々にはヨダレが込み上げた。2023/11/30