出版社内容情報
大国中心の法創造プロセスに風穴をあけ、初めて幅広い主体に国際法を開いた国際連盟の法典化事業。特に積極的な貢献をみせた日本を軸に、失敗とされたハーグ会議の意義を再評価、国益の追求にとどまらない法律家の実像を活写し、国際法の歴史を外交史的アプローチもふまえて描き直す。
内容説明
大国中心の法創造プロセスに風穴をあけ、初めて幅広い主体に国際法を開いた国際連盟の法典化事業。特に積極的な貢献をみせた日本を軸に、失敗とされたハーグ会議の意義を再評価、国益の追求にとどまらない法律家の実像を活写し、国際法の歴史を外交史的アプローチもふまえて描き直す。忘れられた“法的国際主義”の挑戦。
目次
序章 国際法の受け手から「つくり手」へ
第1章 エリヒュー・ルートと戦間期国際法の法典化の端緒
第2章 国際連盟による法典化事業の始動
第3章 「ムッシュー・マツダ」の海賊条約草案
第4章 日本国際法学会の国際法典案
第5章 「事実上の」法律顧問たち―ハーグ会議に向けた訓令策定過程と立作太郎
第6章 国際法を編む―ハーグ会議と日本
第7章 立作太郎以後―戦時期外務省における法律顧問設置構想
終章 「真正なる意義に於ける国際法」を求めて
著者等紹介
高橋力也[タカハシリキヤ]
2008年慶應義塾大学大学院法学研究科修士課程修了。現在、横浜市立大学国際教養学部准教授、博士(国際関係)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
16
1920年代を中心に国際連盟で実施された国際法の法典化事業の全容を詳説。各国の国際法学者や、国際法を専門とした外交実務家たちの取組みがダイナミックに描かれる。日本の関係者が果たした役割から、従来の日本の連盟外交に多角的な視点が付与される点は貴重。一読して改めて感じるのは、国際法が国際関係の問題の全てを解決できるわけではなく、国際法を一歩一歩改善していくしかないという現実。歩みを止めないことが大事。◆先日、ICJがイスラエルに対して、パレスチナ人への集団殺害防止の暫定措置を命じたのも小さな一歩。2024/03/07