出版社内容情報
「軍閥王」が建設した「自由なる民」の王国は、度重なる分裂と統合を経て何を欧州にもたらしたのか。第一人者による初の本格的通史の第2巻。本巻では世界史の新局面のなか、初代王の征服と受洗から司教座・貴族・宮廷権力の形成まで、海を跨いだ交流を視野にダイナミックに描く。
内容説明
古代から中世への大転換―「軍閥王」が建設した「自由なる民」の王国は、度重なる分裂と統合を経て何を欧州にもたらしたのか。第一人者による初の本格的通史の第2巻。本巻では世界史の新局面のなか、初代王の征服と受洗から司教座・貴族・宮廷権力の形成まで、海を跨いだ交流を視野にダイナミックに描く。
目次
第1部 クローヴィスと初発の諸局面(クローヴイスの軌跡;軍閥王権と征服戦争の継続;国家の構造と支配実践)
第2部 権力と社会のダイナミズム(分裂への道程;アウストラシア・ブルグント連合の帰趨;クロタリウス二世の統一政権 ほか)
第3部 空洞化する国王権力(君臨する宮宰;アウストラシア分王国の台頭;カール・マルテルとメロヴィング朝の終焉)
著者等紹介
佐藤彰一[サトウショウイチ]
1945年生まれ。1978年早稲田大学文学研究科博士課程退学。名古屋大学文学研究科教授などを経て、名古屋大学名誉教授。日本学士院会員。フランス学士院会員、博士(文学)。著書『修道院と農民』(名古屋大学出版会、1997年、日本学士院賞)他(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MUNEKAZ
19
メロヴィング朝の一般向け通史なんて我が国初では。カロリング朝の前座みたいな扱いで、いまいち実態の見えなかった王朝のことが知れてなかなか良い。王の息子たちによる王国の兄弟分割相続という独自性や、それによって必然的に起きる内乱など、古代から中世への移行期ならではのグチャグチャ感にあふれた内容。またその中でフランクの伝統になかった「貴族」の誕生や、次第に力を着けていく各王国の「宮宰」など次の時代への助走が見られるのも面白い。他に短命の王が多いためか、若年の後継者を支える母后の存在が大きいのも印象に残った。2022/08/20