内容説明
科学には「モヤモヤ」がつきまとう、されど―不確実性・偶然性・規範性などさまざまな形をとり、研究から組織・評価・大学・社会・未来まであらゆる次元に現れる不定性。これら避けがたいものと向きあい科学のリアルを捉え直すことで、知と未知への態度を鍛える21世紀の学問論。
目次
第1章 科学
第2章 研究
第3章 組織
第4章 評価
第5章 大学
第6章 社会
第7章 世界
第8章 未来
第9章 知識の不定性
著者等紹介
吉澤剛[ヨシザワゴウ]
1974年川崎市に生まれる。1999年東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。2008年サセックス大学科学政策研究ユニット(SPRU)博士課程修了。2009年東京大学公共政策大学院特任講師。2012年大阪大学大学院医学系研究科准教授。2018年オスロ都市大学労働研究所リサーチフェロー(EUマリー・キュリーフェロー)。現在、関西学院大学イノベーション・システム研究センター客員研究員、東京大学未来ビジョン研究センター客員研究員、PhD(科学技術政策)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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singoito2
10
読友さんきっかけ。社会の中で科学することに伴う評価の難しさや研究不正、企業や政治への隷属などを、’21年刊ということもあって新しい事例を交えて語ったのち、「資本主義のあらゆる存在への粘着性」P174と嘆きつつも、地域や市民とコミュニケートしながら開かれた科学を作り出すことへ希望をつなぐ、という本。著者はメチャまじめな人みたいで、ちょっと冗漫な筆運びが玉に瑕だけれど、自分的には不案内な分野でもあり、良書に出会えたと思いました。後半部分を上手にダイジェストすれば斎藤公平さんなみのヒット作になると思うんだけど。2023/04/15
Haruki
2
知の冒険である科学が出会うクレバスたる不定性を3つの次元から分類し客観化を企図。対象(存在、認識、方法)の不定性(1)+文脈の不定性を含む研究の不定性(2)、大学組織での学問継承の意味での翻訳の不定性、市民・政治・社会での利用の不定性、またこれらに横断的に関わる評価の不定性、さらにその外側としての世界、未来について学問の不定性(3)と知識形成への応えるべき疑問がある。CUDOSとPLACE、HARKingやp-ハッキング、科学の決着(目的化)論、資本主義の粘着性(再帰的無能感)、アート・デザインの可能性。2023/12/30
takao
2
ふむ2021/08/10