内容説明
二度の大戦により、300万人におよぶ大量の戦争障害者を生み出したドイツで、国家に奉仕した「英雄」はどのようなその後を生きたのか。公的支援や医療の発達、義肢や盲導犬などの補助具の発展と、他方での差別や貧困、ナチへの傾倒などの多面的な実態を丁寧に描き、現代福祉の淵源を示す。
目次
戦争障害者の時代―社会国家のもう一つの源流
第1部 第一次世界大戦へ(英雄か「怪物」か―第一次世界大戦までの戦争障害者支援;「労働による自立」―第一次世界大戦下の戦争障害者支援)
第2部 戦間期(「帰還者」の相互支援―戦争障害者の組織化と政治化;「生きた戦争記念碑」―戦争障害者へのまなざし;「リサイクル」される戦争障害者―国家援護の法制化;盲導犬―戦争障害者のための「支援器具」)
第3部 第二次世界大戦から二つのドイツへ(「戦争障害者は第一の市民である」―ナチ党支配下の戦争障害者支援;「受肉した」敗戦の象徴―占領統治下における再編と変容;「五つ目の車輪にはならない」―西ドイツの戦争障害者支援;戦争記念碑と戦争墓―戦争障害者支援の一形態)
戦争障害者支援からみえてくるもの
著者等紹介
北村陽子[キタムラヨウコ]
2004年名古屋大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。愛知工業大学基礎教育センター准教授を経て、名古屋大学大学院人文学研究科准教授、博士(歴史学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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